BOOK うたの☆プリンスさまっ♪
□レン×真斗03
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どれだけたくさんのレディたちから愛を受け取ったって、オレの心の穴は塞がらない。
もう何年も、あのパーティーを抜け出した日から、アイツに奪われっぱなしなんだ。
代用品にしてると言ったら悪いが、オレの中ではそうとしか思えない。
言葉なんて空虚なものだ。
上辺だけの愛の言葉に、レディたちは愛をくれる。
でもそれだけじゃ、オレの心の隙間は埋まらない。
それほど、あの日持っていかれた初恋は大きかった。
「――汚らわしい」
小さな、でも高い声にかき消されないように調節された呟き。
バッと振り返って、オレはその姿を認める。
目が合ったのなんて、ほんの数瞬。
すぐにアイツは不愉快そうに眉を顰めて歩き出す。
「ごめんね、レディたち。今日はここまでだ」
今なら何かが変わるかもしれない。
あの日から奪われっぱなしの恋心を、返してもらわなきゃ。
END
2013/08/13