BOOK うたの☆プリンスさまっ♪
□レン×真斗02
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◇ Sideレン ◇
あのきらびやかな会場で気を引くように声を掛けたのは、ほんの好奇心からだった。
――「つまんないな」
独り言のように、言葉を発す。
こちらに興味を持ってくれればそれでいいし、ちらりとも見なければ独り言で済ますつもりだった。
でも実際は、深い海のような色の瞳はオレに向けられ、つまらなそうに結ばれていた唇は、笑みの形に変わる。
――「ねえ、抜け出そうよ」
――「…うんッ」
靴も靴下も脱ぎ捨てて、水遊び。
夜の僅かな光を受ける水滴と同じくらい、アイツの瞳は輝いていた。
「もう、あのときには戻れないのかな…」