BOOK ハイキュー!!
□岩泉×及川03
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詰んだシロツメクサの茎を二つに裂いて、及川の細い指に巻きつけた。
花の部分――白い丸が、薬指の上で揺れた。
「はじめ、ちゃん?」
「とおる、しってるか? けっこんしてほしいときは、ゆびわをあげるんだって」
「けっこん?」
「そう。けっこんしたら、ずっといっしょにいれるんだって」
「はじめちゃんとけっこんしたら、ずっといっしょにいれるの?」
「ああ」
「じゃあ、はじめちゃんとけっこんする! はじめちゃんのおよめさんになる!」
「おう!」
◇ ◇ ◇
なんてこともあったよな、と思い出したのは、翌日は練習が休みの日曜日。
3連休の真ん中である今日は、及川の誕生日でもある。
日曜の練習は、なかなかハードだ。
疲れきった体を少しでも早くベッドに倒したいのに寄り道を提案したのは、それを思い出したからだった。
「ここに来るの、久しぶりだネー」
「……そうだな」
奇しくも、子どものときにシロツメクサの指輪を贈ったのもこの公園だった。
だが、あの頃とは違い、いくつか遊具が取り壊されたりもして、様相は大分変わってしまっている。
ちらりと行き帰りに見ることはあったものの、中に入ることはなかったので、緑が減っていることには気付いていなかった。
「ねぇな……」
「何探してんの?」
「シロツメクサ」
「じゃあオレも手伝ってあげるよ。あっちのほう、探してくるね」
ぱっと芝生を見ても、薄暗い街灯の下では、いくら白色とは言えども見つけづらい。
自然と目を凝らして、眉間に皺が寄る。
「……お、」
「岩ちゃーん、こっちにあったよー」
「こっちにもあった」
「えー、せっかくオレが探しに行ったのに」
冠でも作るの? と覗き込んでくる及川の頭を押さえつけて、1本だけを摘み取る。
茎を二つに裂いて、及川に左手を出させた。
「岩ちゃん……これって、」
「黙ってろ」
いつかのあの日と同じように、薬指に回して結びつける。
あの頃と変わらない、綺麗な指。
男のものだというのは一目で分かるが、性を超えた美しさが及川にはある。
「男同士じゃ結婚できねぇって知っちまったけど、それでもオレと一緒にいてくれるか?」
「いわちゃ……」
「お前がオレのそばにいたいって思う限り」
「ずっと、ずっといるよ! 二人で仲良く死ぬまで、ずっと岩ちゃんの隣にいる!!」
約5cmの身長差も、悪くないかもしんねぇ。
照れ、恥らい俯くコイツの顔がよく見える。
後頭部を引き寄せて噛み付くようなキスをしてやれば、慌てたように「ここ外だよ」という静止の声が降ってくる。
それさえ塞ぐように、唇を重ねた。
END
2014/07/18
後書きと言い訳
本当は、6月の岩ちゃん祝誕と重ねようと思ってたんだ
それがどうしてこんなことに……本気で俺が聞きたい
テンションで書くとこうなる、という悪い見本っスね(苦笑)
閲覧、ありがとうございました☆