BOOK ハイキュー!!
□月島×山口05
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音駒と梟谷の主将たちが羨ましい。
パーソナルスペースの広いツッキーに、あんなにも踏み込んでいけて。
ツッキーって呼んでも、本気では拒絶されてないし。
オレは「ツッキー」って初めて呼んだときにすっごく緊張したし、どこまでなら近づいてもいいのか、おっかなびっくりでやってるのに。
「いいなぁ…」
「なにが?」
ひゅ、と息を飲んで、噎せた。
背中を擦ってくれる手の優しさに甘えて、ゆっくりと息を吐く。
「つ、ツッキー!?」
「なに驚いてるの」
「だって、主将たちは?」
「逃げてきた」
それでも、ツッキーの手には肉と野菜とおにぎりが紙皿に乗るだけ乗せられていて、だからこそ大人しく解放されたんだと思う。
っていうか、あれ?
確かツッキーって、
「山口、」
不意に、皿の上の緑色が移動した。
唇に少し冷めたピーマンが触れて、条件反射で開いてしまったところにすかさず入り込んでくる。
「好き嫌いはダメだよ」
「うるさい、山口」
意外と子ども味覚なツッキーは、次々とオレの口にピーマンを詰め込んでいくけど、ちょっと待って、これ以上入らないから!
手でタイムを示して、咀嚼する。
実を言うと、オレもあんまりピーマンは好きじゃないんだけど…
仕返しとばかりに、オレも一切れピーマンを割り箸で摘んで、ツッキーの口元に差し出した。
「1つだけ、ね?」
「嫌なんだけど……」
「1つ食べたら、あと全部オレが食べるからさ」
息を止めて、眉を寄せて、心底嫌そうな顔で、それでもツッキーは口を開いた。
そこにそっと差し入れると、オレの割り箸も一緒に噛むくらいの勢いで咀嚼し、飲み込む。
「……まず」
「水持ってこようか?」
「いい。それより口直し」
ちゅ、と軽い音が、唇の上で鳴った。
口直しって、口直しって……
「ツッキー!!」
「ほんとピーマン嫌いなのにさぁ……」
ジワジワと頬が熱くなる。
これは、バーベキューの熱さでも、夏の暑さでもない。
「お前、もっと自信持っていいよ」
「え?」
「ボクが自分から近づくのは、山口しかいないから」
「……うん」
オレがこんなに熱くなるのも、ツッキーしかいないから。
強制END!!
2014/06/05
後書き
コンセプトは、「W主将に絡まれてるツッキーが嫌な山口」のはずだったんだけど
どうしてこうなったのやら;
いつの間にか、ツッキーはピーマンが嫌いってことになってるし
攻めがお子様味覚なのは可愛いですよねっ
でもピーマン美味しいのに…(-ε-)
なんで甘に行ったんだろ
深夜テンション怖いな