BOOK ハイキュー!!
□黒尾×研磨01
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クロがいないのなら、バレーを続けても意味がない。
元々あまり好きではなかったのだ、やめることに抵抗はなかった。
クロたちの引退から、春高が終わって1ヵ月が過ぎたころ、監督に呼ばれた。
最近練習もサボりがちになっていたし、そのことかも。
だったら、そろそろやめる頃合かな。
おれにクロの後を継げるキャプテンシーなんてものはなくて、新キャプテンの新しい背番号は、重たい。
それに――
「最近どうしたんだ、弧爪」
「……おもしろく、ないから」
元々クロにトスを上げるためにやっていた。
クロが打ってくれるから、クロに勝ってほしいから。
そのクロがいないバレーは、面白くない。
「やめたい、です」
「……そうか」
困ったなぁ、と言って、監督は顎の先を掻く。
監督が困っても、もうなんの関係もないし、オレはちっとも困らない。
クロがいないバレー部にも、未練なんて。
ただ、正式に退部届けを出すことも出来なくて。
このまま幽霊部員になって、忘れてくれたらいいのに。
「考え直せと言いたいんだが、まぁ……。ただ、もう少し考えてくれるな、研磨」
「……」
もう少し考えて、それで変わるとは思えないけど。
でも、要するに監督たちが考える時間がほしいってことだよね。
「……わかりました」
ホントに、考えが変わる保証なんて一切しない。
それは監督にもちゃんと伝わったようで、くるりとドアに向けた背中から、苦笑が聞こえた。
◇ ◇ ◇