BOOK 黒子のバスケ2
□日向×伊月07
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感情と理性での間で保っていた危ういバランスは、かなりの時を踏ん張ってから崩れた。
ほかでもない、日向によって。
◇ ◇ ◇
ゆっくりと離れて、通り過ぎた一迅の風が僅かに濡れた唇を冷やす。
「好きだ」
ほんの数センチしかない距離で日向が囁いた。
熟れた吐息が触れて、オレはどうすればいいのか解らず視線は下を向く。
「好き……知ってんだろ、オレの気持ち」
――“眼”を持つお前に気付いてないとは言わせないぞ。
熱い言葉が唇に乗せられた。
「お前もオレと同じだろ」
再び距離はゼロになって、躊躇いがちに回された手が後頭部を引き寄せ、舌がオレの口内を蹂躙していく。
オレは怖かったんだ。
一度踏み外したら、この快楽に逆らって戻ることが困難だと解っていたから。
でももう無理だ。
「うん…オレも…」
掠れた声で囁いて、オレは日向の首に腕を回した。
END
2013/09/24