BOOK 黒子のバスケ2

□日向×伊月07
1ページ/1ページ


 感情と理性での間で保っていた危ういバランスは、かなりの時を踏ん張ってから崩れた。
 ほかでもない、日向によって。

 ◇ ◇ ◇

 ゆっくりと離れて、通り過ぎた一迅の風が僅かに濡れた唇を冷やす。

「好きだ」

 ほんの数センチしかない距離で日向が囁いた。
 熟れた吐息が触れて、オレはどうすればいいのか解らず視線は下を向く。

「好き……知ってんだろ、オレの気持ち」

 ――“眼”を持つお前に気付いてないとは言わせないぞ。
 熱い言葉が唇に乗せられた。

「お前もオレと同じだろ」

 再び距離はゼロになって、躊躇いがちに回された手が後頭部を引き寄せ、舌がオレの口内を蹂躙していく。

 オレは怖かったんだ。
 一度踏み外したら、この快楽に逆らって戻ることが困難だと解っていたから。
 でももう無理だ。

「うん…オレも…」

 掠れた声で囁いて、オレは日向の首に腕を回した。


END

2013/09/24

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ