BOOK 黒子のバスケ2

□日向×リコ01
1ページ/1ページ


「日向くん?」

 下足室に行くと、よく知っている人影があった。

「遅ぇよ」
「何でまだいるの?」

 もうとっくに帰ったと思っていたのに。
 そういう意味を込めて問うと、「それはオレのセリフだっつーの」と返される。

「下駄箱見たらカントクの靴、まだあるしよ。一体こんな時間まで何してたんだ」
「あたしは生徒会の…」

 もごもごと口内で答える。
 疚しいことは何もないのに、なぜか悪いことをした気になった。

「帰んぞ」
「えっ、あ、うん」

 慌てて靴を履き替え、先に歩き出した日向くんを追う。

「わざわざ待っててくれたの?」
「…暗くなってんのに一人で帰ったら危ねえだろうが。景虎さんにバレてみろ、オレが怒られる」
「まだ8時だから平気よ」
「馬鹿、8時じゃ充分暗いだろうが」

 コツンと拳で小突かれた、その場所が熱くなって。
 胸には甘い熱が点った。

 ――これは、あたしが気持ちに気付く、ほんの少し前の出来事。


END

2013/08/07

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ