BOOK 黒子のバスケ2
□日向×リコ01
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「日向くん?」
下足室に行くと、よく知っている人影があった。
「遅ぇよ」
「何でまだいるの?」
もうとっくに帰ったと思っていたのに。
そういう意味を込めて問うと、「それはオレのセリフだっつーの」と返される。
「下駄箱見たらカントクの靴、まだあるしよ。一体こんな時間まで何してたんだ」
「あたしは生徒会の…」
もごもごと口内で答える。
疚しいことは何もないのに、なぜか悪いことをした気になった。
「帰んぞ」
「えっ、あ、うん」
慌てて靴を履き替え、先に歩き出した日向くんを追う。
「わざわざ待っててくれたの?」
「…暗くなってんのに一人で帰ったら危ねえだろうが。景虎さんにバレてみろ、オレが怒られる」
「まだ8時だから平気よ」
「馬鹿、8時じゃ充分暗いだろうが」
コツンと拳で小突かれた、その場所が熱くなって。
胸には甘い熱が点った。
――これは、あたしが気持ちに気付く、ほんの少し前の出来事。
END
2013/08/07