BOOK 黒子のバスケ2
□青峰×桜井02
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「――峰くん、青峰くんッ」
待って! と一際大きく叫んだ私の声に、ようやく青峰くんの足は止まった。
「何だよ、さつき」
心底鬱陶しそうな青峰くんの声。
不機嫌そうな視線を向ける彼は、「何だよ」と私を見下ろした。
「帰っちゃうの?」
ぜぇはぁと荒い息を吐きながらの言葉。
ぎゅうっと喉が引き攣れて、うまく言葉が出ない。
「おめでとうって言ってあげないの?」
「――は?」
虚を突かれた顔の青峰くんを見て、私の胸に一つの危惧が生まれた。
でも、まさか――
「知らなかったの?」
「何がだよ…」
「今日、誕生日…桜井くんの」
ピシッと音を立てて、青峰くんの顔が固まる。
一面に出た驚愕の表情に、私は驚いて顔の前で手を振った。
「青峰くん? 大ちゃん?」
「ぁ…あぁ」
「桜井くんならいつも自主練してるし、今からでも間に合――」
「サンキュ、さつき」
青い旋風が、隣を駆け抜けた。
見る間に遠くなる背中に向かって、私は小さく言葉を送る。
「頑張ってね」
END
2013/09/08