BOOK 黒子のバスケ2

□青峰×桜井01
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「ど、どうですか…?」
「んー」

 そう訊くと青峰サンはもぐもぐと玉子焼きを咀嚼して、「美味い」とだけ言った。

「! ありがとうございますッ」
「マジうめぇ」

 二度目の「美味い」を貰って、舞い上がりそうになる。
 青峰サンに美味いと言ってもらいたくて、桃井さんに訊いて味の好みを覚えたのは内緒だ。

「良…」

 濃い青の瞳に見つめられ、動きが捕らわれる。

 何を言われるのか。
 体をビクつかせて言葉を待つ。

「お前、ウチに嫁に来い」
「へ?」

 思わずボクは耳を疑った。
 嫁?

 読め、詠め、夜目――。
 思いつく限りの「よめ」を頭の中で変換するが、言葉の内容からすると嫁が正しい気がする。

「聞いてんのか?」
「……結婚、出来ませんよ」
「同棲でもいいぜ? とりあえず、大学入ったら二人で暮らす。異論あるか?」
「ない、です」

 何の拘束力も持たない約束。
 それでも先が見えなかった数分前と比べて色彩豊かになった。

「良、茶ァ」
「はい」

 ペットボトルの蓋を開けて差し出す。
 その行為に未来を重ねて、ボクは笑みを唇に浮かべた。


END

2013/05/03

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