BOOK 黒子のバスケ2

□青峰×黄瀬04
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 ――あの日ボールをぶつけたのがわざとだと言ったら、お前はどんな顔をする?


 前々から気になっていた。
 そのときまで、何回か廊下ですれ違っただけだというのに。
 何度瞬きをしても瞼の裏から離れなくて。

「おいさつき。今の誰だ?」
「え?」

 きょとんと見上げてくるさつきに、オレはアイツを指差す。

「あの黄色いの」
「んー…、黄瀬君だったと思うけど」
「黄瀬?」
「えっとね、確か……」

 さつきの口から、アイツに関してのデータがどんどん出てくる。

 モデルをやっていること。
 女どもに人気があること。
 スポーツ万能で、このあいだのリフティングのテストではあっさり200回を超えたこと。

「私が知ってるのはこのくらい。友達に聞いたらもっと分かると思うけど」
「ふーん…」

 スポーツ万能、ね。


 そしてあの日、外へ転がったボールを追ったオレは、黄色い頭を見つけたんだ。
 このチャンスを逃しちゃいけない――頭の中で警鐘が鳴って、咄嗟にオレは手の中のボールを投げた。
 直線に近い軌道を描いて飛んでいくそれは狙い通りアイツの頭に当たり…うん、さすがオレ。

「いってぇ」
「ワリーワリー。…って、モデルで有名な黄瀬クンじゃん!」

 空っとぼけて。
 黄瀬は涙目になりながら、ボールを投げて返す。

「サンキュ」

 瀬を向けても、アイツがまだ残っているのは気配で分かっていた。
 だからこそ、魅せられてくれないかと意識した。
 素早い切り替えしで3人抜き。
 気になって振り返れば、黄瀬は目玉が零れそうなくらいに目を見開いていた。

「バスケ部入れて…入れてくれないっスか!?」

 思わず笑みが零れたのも仕方ないだろう。
 人生で一番大きな獲物が釣れたんだからな。


END

2013/08/14

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