BOOK 黒子のバスケ2
□水戸部×小金井01
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何の脈絡もなく水戸部に呼ばれた。
振り返って問う。
「なーにー?」
キュッと手を握られて、それだけで言いたいことが伝わる。
だってそれは、オレも感じていたことだから。
――もっと一緒にいたい。
なんとなく寂しくて、歩いているだけで汗が流れるほど暑いのに温もりがほしくて。
「ね、水戸部」
吐息だけで呼ぶと、僅かに水戸部が屈む。
オレはその肩に掴まって、支えられるように腰と後頭部に手が回された。
磁石のS極とN極が引き寄せあうように触れて、たったそれだけで離れてしまう。
少し物足りない、それでもいつ人が通るか分からない路上では、それ以上何も出来なくて。
物足りなさを誤魔化すように撫でられる頭を気持ちよく思って、何処かに燻りを残したままオレは家に入るんだ。
「ばいばい」
って。
END
2013/08/05