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□宗介×凛01
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 ずっと昔から、凛が好きだった。

 仲が良かった、気が合っていた。
 好きなものも同じだった。

 ――けど、リレーだけは違ってて、お前は、

「そんなに七瀬が良かったのか……?」

 小学校の時の転校も、去年の大会のあのリレーも。
 凛が囚われたのは七瀬だった。

「オレを置いて行くなよ、凛……」

 そう願っても無駄なのだろう。

 思い通りにならない、オレの肩。
 壊れてしまったオレとは対照的に、凛は世界の舞台へと羽ばたくのだろう。
 その隣にはきっと七瀬が。

 オレの胸中など何も知るはずのない凛は、穏やかな寝顔で。

「隣にいれるのはこの夏だけか……」

 せめてこれだけは許してほしい、と投げ出された右手にそっと触れたら、握り返されてまた切なくなる。

「凛のバカヤロウ……」

 オレの隣にいてくれ。
 そう言えたら、どんなに幸せか。


END

2014/10/14

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