BOOK 黒子のバスケ

□黄瀬×笠松04
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 派手なシュートが決まると、耳を劈かんばかりの悲鳴が上がった。
 黄瀬がそれに笑顔を向けると、また女子が沸き立つ。
 しかし黄瀬はギャラリーに対してはそれだけで、尻尾を振って笠松のもとへ駆け寄った。

「笠松センパイ、見ててくれたっスか!?」
「静かにしやがれ駄犬」

 飛びつく勢いの黄瀬に、笠松の足が一閃、見事に腹に決まる。

「うー……てか駄犬って!!」
「駄犬だろ、お前は」
「違うっスよー!!」

 うるさい、と笠松の拳がお座り状態の黄瀬の頭に落ちた。
 手加減されて左手だったので、黄瀬はすぐに笠松を見上げる。

「さっきの、どうだったっスか?」
「……まぁ、わりと良かったぞ」
「わりと、スか……。オフでも欠かさず走った甲斐っスね!!」

 尻尾が褒めてくれと揺れて訴える。
 笠松は目を眇めてそれを見ると、本気の右拳を落とした。
 ゴツンという小気味良い音が、少し離れて立っていたオレのところまで響く。

「どうしてー」
「んくらいすんのは普通だろうが馬鹿!」
「いてっ! 痛いっス! 笠松センパイの愛! 愛が痛い!!
「何が愛だ!!」

 そこで堪えきれなくなって、オレはとうとう口元を押さえて下を向いた。
 途端、怒号がオレを貫く。

「小堀! 笑ってないでこの駄犬を何とかしろ!」

 夫婦漫才も好調で、今日も海常高校バスケットボール部は平和です。


END

2013/05/01

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