BOOK 黒子のバスケ

□黄瀬×笠松02
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「センパイ、これあげます。ってか貰ってください」

 オレの掌に乗せられた、小さな金属。
 何と言っていいか分からずに、オレはただそれを掌中で転がした。

 黄瀬が普段着けているものと対のピアスは、光を受けて輝く。

「センパイに持っといて欲しいんスよ」

 オレ片っぽしか穴開けてないんで。と目の前の金髪男は笑う。

「着けないでいっスよ。ってか笠松センパイの体に傷をつけるなんてできないし」

 オレが何も答えなかったからだろう。
 黄瀬はでかい手を顔の前でブンブン振って言葉を付け足した。

「あぁ…んじゃ貰っとくけど、どこに置いとくかな…」
「大事にしてくださいね! …ホントは指輪がよかったんスけど」
「……おい」

 オレが若干声を低めると、黄瀬はビクリと肩を揺らす。

「バスケの邪魔になるし、諦めたっスよ!」
「誠凛の火神みたいに首から下げればいいんじゃねーの?」
「なんか真似するみたいで嫌っス」

 ああでも、火神も試合の時は外してたっけ。
 試合以外であまり対面することのなかった、ガタイのいい火神を思い浮かべる。

「何言ってんだ、模倣【コピー】ばっかしてるくせに」
「模倣と真似は違うっスよ!」

 頼むから口を尖らせるのは止めてくれ、ときめくだろうが。
 思考に乙女フィルターがかかっているのは黄瀬のせいだ。

「あー、はいはい」

 平坦な口調でそう言い、とりあえず制服の胸ポケットにピアスを入れる。
 洗濯に出す時に、忘れないようにしないと。

「ちゃんと大事にしてくださいよー」

 するに決まってんだろうが、オマエに貰ったもんなんだからよ。


END

2013/03/29

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