BOOK ダイヤのA

□カルロス×白河01
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 誕生日なんて、何が目出度いものか。
 “生まれる”という、人間の最初にして最大の罪を犯した日。

 ――それが、誕生日。

「なぁ、どうしたんだ?」

 黒い肌が、布団の上を彷徨う。
 日中の猛暑は影を潜め、涼しい風が吹くようになった夜は、布団を被っていてもそれほど暑くない。

「……何が?」
「お前さ、昼間から何か変だったじゃねーか」
「……あっそ」
「誕生日祝われんのが、そんなにヤだったのか?」

 地雷を踏まれた。
 感覚としてはそんな感じで、思わず飛び起きて叫ぶ。
 嗚呼、感情的な自分なんて嫌いなのに。

「うるさいっ! 誕生日の、どこが目出度いんだっ!」

 そしてぶちまけてしまう、先ほどまで考えていたこと。

「大体成宮も、他人の誕生日ごときで騒ぎすぎなんだっ!」

 頭の中がグルグルして、ムシャクシャして、一体自分は何をこんなにわめいているのだろう。
 何が原因でこんな思考に陥ったのかすら、思い出せない。

「お前が嬉しくなくてもさ、俺達は嬉しいんだよ」

 ゆっくりと俺の左目にかかる髪の毛を撫でながら、カルロスが言葉を紡ぐ。

「鳴も俺も、お前が大好きだからさ。……鳴はお前のプレーが好きなだけなのかもしんねーけどさ。お前が生まれてきたことが俺達は嬉しいから、『おめでとう』って言いてーんだよ」

 ゆっくり、ゆっくり、髪を撫で付けていく手。
 温かいその動きに、目の奥で凍っていた何かが溶かされてゆく気がした。

「誕生日おめでとう、白河」
「……ありが、とう」

 今日何度も言った言葉。
 でも、義理なんかじゃなくて、やっと、本心からそう返せた。


END

2014/08/31


後書き……?

 カルロスのキャラが掴めないorz
 何ででしょうねー(目逸らし)
 この年になったら、別に誕生日なんて祝わないよなーとか思いつつも、毎月毎月誰かしらの祝誕小説書いてる現状
 別に誕生日なんて何も目出度いものじゃないのにな

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