BOOK ダイヤのA

□御幸×沢村01
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 オレは、好きなヤツはひたすら虐めたいタイプだ。
 寮に出入りしている猫に対してもそうだし、それで引っかかれかけたことだって何回もある。
 それでもやめらんねぇのは、もはや性分なんだろうな。
 やりすぎは嫌われる元だって、分かってんのに。

「沢村!」

 廊下で見かけたから、首根っこを掴んで引き寄せてやった。
 ぐらりと体勢が崩れて、数センチ低い位置にあった頭が、胸元に収まる。
 おうおう、もっと体幹鍛えろよな。

「げっ、御幸!」
「……まーた呼び捨てか」

 先輩には敬語使えよ〜とか、言いながら頭をグリグリしてやるけど、沢村が咄嗟のとき以外に敬語を使わない相手はオレだけだから、それすらも少し優越感だったりするんだけどな。

「やーめーろー!!」

 じたばたと暴れて、赤く色づく頬。
 林檎のようなそれに、キスをしたくなる。
 噛み付きたくなる。

 ……そんなこと、できるわけねぇんだけど。

 だから、その代わりに触れたい場所を指先で抓ってやった。
 いつかその頬に歯形をつけてやるから。


END

2014/05/24〜2014/05/29

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