BOOK おおきく振りかぶって

□秋丸×榛名01
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 シニアチームに移った榛名の表情は、日々以前のように戻っていく。
 楽しそうに聞かされた“タカヤ”の話から、良いキャッチャーに出会えたのだと分かったが、それでもオレの胸に渦巻く、モヤモヤ。

 オレじゃダメだったんだ。

 あの顧問がいる限り、オレは榛名の力になってやれない。
 中学生というものは、あまりにも無力で。
 プロ選手を目指しているという榛名の体が壊されてゆくのを、何も言えずに見ているだけだった。

 せめて、榛名が野球を楽しく思ってくれれば。
 部活で削り取られてしまった楽しさを、シニアチームで思い出してくれれば。

 オレはそれで満足だよ。


END

2014/08/05

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