BOOK テニスの王子様

□伊武×神尾07
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 パタリ。
 日直日誌を閉じる。

「終わった――っ」

 傍らの深司に座ったまま抱きついて、胸に顔を埋めた。

「まったく、遅すぎるよ。休み時間にちょっとずつ書いていれば、こんなに時間かからなかったのにさ」

 ぼやきの貶しは止まないが、髪を撫でてくれる手は優しい。

「だって俺、日誌書くの苦手なんだもん」
「苦手なら早く終わるように時間やりくりしなよ」

 一刀両断。
 休み時間にしなかったのは、深司と喋りたかったからなんだけどさ。

「意地悪ー…」
「――まぁ、」

 ゆっくりと。視界が塞がれて。
 唇に柔らかいものが触れる。

「お疲れ」
「〜っ」

 顔に体中の血液が集まってゆく感覚。
 きっと俺の顔は、真っ赤になっているだろう。

「んー…」
「な、何?」

 思案するような顔も綺麗だなーって。
 そんな風に思ってしまう俺は、やっぱりどっぷりと深司に惚れている。

「アキラ」
「だから何だって……んっ」

 俺に覆いかぶさるように体勢を変えた深司の髪が、視界を狭める。
 喋っている途中の口に入り込んだ舌は、口内を這い回り思考を蕩けさせた。

「は……っあ」
「……アキラ可愛い」
「何言ってんだよ」
「……抱きたい」
「っ、馬鹿! もう! そろそろ行かねーと橘さんに怒られるぜ」
「……それは困るけどさぁ…遅くなったのはアキラが日誌書いていたせいだよ……」
「深司がキ――キス、しなかったらもうちょっと早く行けたはずだって」
「へぇ…。じゃあご褒美いらなかった?」
「う゛あぅ……」


END

2012.4.29
2012.6.17データ化

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