BOOK オリジナル

□レポート『死なないでいる理由』
1ページ/1ページ

 人が死なないでいる理由とは、何であろうか。このレポートを課される前から、幾度も考えてきたことである。筆者は、「わたしのいのち」は自分で創り出したものではなく、服や鞄のような所有物でないと述べている。だが、「いのち」をどのように取り扱うかは、「わたし」が決定するというようにも述べている。私は「いのち」はある程度までなら、「わたしの所有物」と同意義だと考える。「いのちは」ニアリイコールで人生ではないだろうか。身分制度で固められていた昔とは違い、現在の日本では、好きな職に就き、好きなように生きることができる。では、何故終わり方は自由に選べないのだろうか。
 「いのち」を自由に使うことが許されない理由は何であろう。日本では、自殺は禁忌とされている。なぜ、「じぶんのいのち」を自分で終わらせてはいけないのだろうか。私は、自殺は許容されるべきだと考える。そのように考える理由を、以下のようにまとめた。
 私たちは自分の力のみで生まれてきたわけではなく、「いのち」の製作者と所有者は違う。製作者は母であり父であり、わたしの先祖全てである。だが、「いのち」の所有者は彼らではない。所有者は、間違いなくわたしである。ならば、それを自由に使ってもよいのではないか?そう、考えた。その極限の意味は、「じぶんのいのち」の終わらせ方――自殺である。
 自殺を語るとき、近くにあるのが自傷行為だろう。自傷行為の目的として、自殺目的、自己破壊、ストレス発散、現実からの逃避、純粋に痛覚を求めるなどの理由がある。その原因や理由は人それぞれあり、パターンとしてまとめることはできるが、一つにはならないだろう。自殺にも、似た傾向がある。とある掲示板に行ってみた。そこで語られる、死にたいけど死ねない理由。主に上がるのは、「家族親戚には迷惑かけらんない」(1)「天災とか事故でぽっくり死ねたらいいけどやっぱり葬式とかで家族に迷惑かけると思う。だれかに殺してもらえたら、とも思うけど犯罪者が生まれちゃうし頼めない。自殺も他殺もやっぱり迷惑だから死ねない」(2)「親に今まで育ててくれた金返してないから死ねない」(2)と、身内に迷惑をかけることを厭うことと、「怖いから死なない」(1)「生きていて生じる辛いことからは解放されたいけれど、自死に伴う恐怖に耐えられそうにないっていう」(1)と、恐怖に囚われ、死ねないということである。ならば彼らは、その枷がなくなれば自ら生を終えるのだろうか。そして逆に、生きる意味とは何であろうか。
 私は以前、自分が管理するサイトの小説で、キャラクターの言葉としてこんな文章を書いた。「何でオレは生きてんのやろ。何もかもが、無駄に感じる」「価値のないオレが生きてて、酸素無駄に使っててええの?」なぜ人は生きるのだろうか。人が生きる意味とは、何であろうか。
 『モリー先生との火曜日』(6)の解説部分に、このような文章があった。

   (前略)「いかに死ぬかを学ぶことは、いかに生きるかを学ぶことだ」。日本でも上智大学教授アルフォンス・デーケン師が先頭に立って「死の準備」教育を推進していらっしゃる。その「死生学」のモットーがまさにこの言葉である。
    死を思う機会が持てないのはこの文化のせいだ、とモリーは断言する。「文化がろくな訳に立たないんなら、そんなものいらないと言えるだけの強さを持たないといけない」。そのとおり。

 また、インターネット上でも、このようなことが書かれている。「生きているということは、何か使命があるからなんです。この世でその使命を終えた者から、死が許されているんですね。死とはこの世からの卒業であって、きちんと学業(使命)を達成しないと卒業できないのです。」(3)、「死ぬために生きている」(5)、「よくわかんないけど俺は絵を描くのが好き。自分の絵で誰かに少しでも感動されたり、幸せな気持ちになってもらえたら、それってステキな事なんじゃないかって思う」(4)。「なにか使命がある」その使命は、明確に記されてはおらず、非常に曖昧に終わっていた。『モリー先生との火曜日』から引用した部分も、そうである。所詮、生きる意味などは曖昧で、存在しているかも分からないものである。
 私たちは、生まれてくるとき――親や周囲の環境――を選ぶことは出来ない。だからこそ、終わりは選んでもいいのではないだろうか。
 以上のように、私は、死ぬことは許容されるべきだと考える。


参考文献とその他

(1)『死にたいけど死なない・死ねない理由は何?』
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/utu/1314965764/l50
(2)『死にたいけど、死ねない理由まとめ』
http://matome.naver.jp/odai/2137858624985271401
(3)『発言小町』http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2012/0419/500720.htm
(4)『生きる意味とは?』http://matome.naver.jp/odai/2134908605966207801
(5)『2ちゃんねるまとめ 20XX年』http://20xx.doorblog.jp/archives/36024571.html
(6)『モリー先生との火曜日』 著者:ミッチ・アルボム(翻訳者:別宮貞徳)/出版社:日本放送出版協会/発行年月:1998年09月/引用部分:203ページ解説部分

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ