BOOK ハイキュー!!

□黒尾×研磨05
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「今のうちだぞ、やめるなら」
「やめないよ。……誕生日のプレゼントに、おれをあげる」

 さっきからクロが何度も訊くから、おれも少し意地になっちゃっているのかもしれない。

 少し硬い声で言うと、クロは小さく笑って唇をくっつけた。
 ふにふにと唇で唇を挟むようにされて、それから舌が入り込んでくる。

「……ん、」

 最初はちろりと軽く舐めるように。
 それから深く、絡まる。

 角度を変えられるたびに鳴る水音が、恥ずかしい。
 クロの服を掴んで抗議したら、宥(なだ)めるように頭を撫でられて、その指先が耳を掠めた。

「あっ!?」
「悪い悪い。ここ、くすぐったいんだよな」
「知ってるのなら意地悪しないでよ」
「研磨の可愛い声が聞きたいから、意地悪する」
「ちょっと……」

 唇の上で囁いていた熱が遠ざかって、耳に移動する。

「それやだ……」

 耳朶を唇で挟んで弄ばれる。
 ぞわりとした感覚に声を上げれば、もっと強い感覚に襲われた。

 ぴちゃり。
 聴覚に水音がダイレクトに送り込まれる。
 耳の孔に舌がねじ込まれて内部を舐められる。
 こんな快感は、今まで知らなかった。

「やだ……ねぇ、耳だめ、やめて」
「ホントにやめてほしいのか?」
「んんっ」

 気持ちいい。
 でもやめてほしい。
 未知の快感は、怖かった。

「はいはい。もう意地悪は終わりな」
「はぁ……っ」

 パーカーのジッパーに手をかけられて、肩が跳ねる。
 ゆっくりと下ろされて、上半身に纏(まと)うものはあと長袖のTシャツだけ。

 これを脱がされたらもう、戻れない。

「……怖いか? 研磨が嫌ならやめるぞ」
「しつこい、クロ。……やめない」

 裾にかかっていたクロの手を解いて、自分でTシャツを脱いだ。
 これからの行為が、おれの意志であることを示す為に。
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