BOOK 家庭教師ヒットマン REBORN!!
□骸×雲雀02
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「骸、いるんでしょう」
そう言った僕の足元で、踏み潰した硝子の破片が音を立てた。
「どこにいるの、骸。君の誕生日プレゼントが来たよ」
歌うように囁いて、更に僕は黒曜ランドの奥へと歩を進める。
「骸しゃまは奥の部屋だびょん」
途中で舌をだらしなく垂らしたイヌが出てきて、骸の所在を僕に教えた。
部屋という部屋を虱潰しにするつもりだった足を指された方向に起動修正して、骸の名を吐息だけで呼びながら、ボロボロの黒いカーテンが垂れ下がる最奥の部屋へ入る。
「おや、」
「やぁ」
警戒を解いた骸に片手を挙げて見せ、また一歩、僕は彼に近づく。
「クフ。珍しいですね、雲雀くんがここにくるのは……」
珍しいなんてどころじゃない。
まぁそれは、僕が骸を欲してる時に骸が来てくれるからなんだけど。
「今日は君の誕生日でしょ」
「ええ、そうですが…」
「だからプレゼント自ら来てやったよ」
にやりと笑って、「君が欲しいものはこの僕だろう?」と添える。
「クフフ…雲雀くん自身がプレゼントですか……。千種たちが用意してくれたチョコケーキよりも甘そうです」
無論食べさせてくれますよね? と、含み笑いで言う骸に、意図的に誘う表情を作って視線を送った。
「食べるのなら早くした方がいいんじゃないの?」
低めた声で囁くだけで、骸の欲を煽るには充分だったのだろう。
「っ……勿論です」
熱い吐息が僕に触れて、次の瞬間にはソファーに押し倒されていた。
END
2012/06/03
2013/03/02改