終わりのセラフ〜もしも優とミカが反対の運命を辿っていたら〜

□第零夜
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第一話



血脈のセカイ









ある日、突然



未知のウイルスによって世界は滅びたのだという。



生き残ったのは子供だけ。



そしてその子供たちは地の底より現れた吸血鬼たちに支配された。














ヴァンパイア歴2016年



地下都市サングィネム



「この世界から逃げるぞ!」



ある日、ミカが言った。



ペタペタと裸足のままで歩く。



あっさりと門までたどり着く。



しかし、最後の最後で神様は意地悪だ。



残っているのはもう、俺とミカだけだ。



「ミカ。」



「な、何?優ちゃん」



「俺が引付けているうちに逃げろ。」



「そ、そんなのっ!」



「頼む。俺の、俺たちの、最後の希望なんだから」



「ゆうちゃ、」


最後に、泣き顔じゃなくて最高の笑顔を。



「ミカ。俺たちは家族だ。」



だから、行け。



「あっは。逃がすと、」



「逃がすさ。俺が。」



銃を構える。



当たらなくてもいい。



威嚇にさえなれば。



「んー。可愛いねぇ。健気で、欲しくなる。」















やっぱり、吸血鬼は早くて、血を吸われまくって、嗚呼、死ぬんだな、なんてぼんやり思ってたら、女王なんて言われている餓鬼がキスしてきやがって、そいつの血飲んじまって、おれは、吸血鬼になったらしい。




そこに居合わせたフェリドも、たまたま通りかかったクローリーっていう奴の血も飲まされて、そこでおれの意識はぷつりっ、ととぎれた。
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