嵐小説
□3時のおやつ
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「 ‥あのー、何で僕の名前知ってるんですか?何処かで会いましたっけ? 」
優雅に紅茶を啜る男の横顔に問いかけてみた。
「 卓巳様、面白い事をおっしゃる。胸元に付いている物は何ですか? 」
その男は口元に気味の悪い笑みで言ってきた。
胸元、何が付いてるんだろう。‥あ、名札か。何だ、だから名前知ってたのか。
「 灯台下暗し、ですね。 」
それだけ言うとその男は片付けを始め何処かへ向かおうとした。
「 あ、‥あの何処行くんですか? 」
僕は思わず声を張って聞いてしまった。
その男はくるりと振り返り、
「 お嬢様を御迎えに参る時間ですので、有難うございました。 」
と言い綺麗なお辞儀をしてみせれば再び歩きだした。
‥と思えば携帯を取りだし、誰かと会話しだしたぞ。
「 影山ぁぁぁぁー!あんた早く迎えにきなさいよ! 私を待たせる何て良い度胸じゃない! 」
少し離れた所にいる僕にも聞き取れる程大きい声だ。
影山って言うらしいな、この人。
「 すいませんお嬢様、直ぐに参ります。 」
怒鳴られても冷静沈着の影山さんは車に乗り込みお嬢様を迎えに行った。
「 ‥うっわ、やばい!俺も病院戻らなきゃ! 」
少し不思議な、3時のおやつ。