Main(長編)

□10 傷跡
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人間界に降りて、15年も過ぎた。
10を過ぎた頃に家を出ようと思ったが、母の腕の傷が見えるたびに出て行けなくなった。

「南野、誰を治せばいいの?」

今隣にいる彼女は普通の人間じゃない。かといって妖怪でもない。

霊力で傷を癒すことができる。

オレは数日前に治してもらったからだ。
隠し通すつもりがバレてしまった


「オレの・・母さんだ」


「ふーん・・・。あまり、期待しないでね」

前にもどこかで会ったような気がする。でも、どこであったか全く覚えてない。

妖孤だったときも・・

いや、でも
仮に妖孤だった時に会っていたなら同い年な訳がない
ましては、こんなに若くないはず。

「ついた、ただいま母さん」

「あら、お帰り今日は早かったのね」


「お邪魔します」


「まぁ〜・・・あら!久しぶりじゃない」


「え、二人は知り合い?」

澪は母さんのことを知っているのか?


「知り合いってほどでも・・」


「覚えてないの?秀一」


「え・・」


「覚えてないと思いますよ」


「貴方がまだ小さい時ね、迷子になって…母さん町中を探し回ったのよ。諦めた時に
その子が秀一を抱きかかえて空から落ちてきたの。秀一と同い年なのにしっかりした子でね…"二度と離すな"って言ってくれたの」

「オレが・・迷子に」


小さい頃・・
同い年・・・・
澪は何か隠しているかもしれない。


「それから、何度かあってるんだよねぇー・・・それにしても、こんな優しいお母さんが南野の母親なんてねぇ」

「秀一と同じ学校なんて、きっと何かの縁ね。さぁ、あがっていってちょうだい」


母さんがいつも以上にうれしそうに見える。
そんなに会っているならオレが忘れるのは誰かに記憶の操作をされているのか
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