Main(長編)

□06 三度目の学校生活
1ページ/10ページ



"…ろ"



ん…?なんだなんだ




「起きないと襲うぞ」
薄く目を開ければドアップに義兄さん顔が写ってる…。


「わぁぁぁああああ!!」


ベシンと乾いた音が朝から響く


「いてて…、朝からなにをする!」


「義兄さんがろくでもないことを言うからです」


布団の上だ

義兄さんが入れてくれたんだろう


「全く、いつまでも寝てないで朝飯だ!」


「自分で作れば良いでしょ」


「昨日の夕食をなしにした張本人がなにいっておる」


食べる前に寝たんだっけ

「もー、作ればいいんでしょ?つ、く、れ、ば!!」


「分かっておるなら初めからそうすればいいものを」


「さぁーって、今日は義兄さんの嫌いな料理でもしよかな」


「澪の飯は何でもうまいぞ」


「お世辞言ってる暇があるなら手伝って」


マントを引きずって、朝から一緒に朝食作り





最近は、週に二回のペースで義兄さんは家にいる


本当は、もっと居てほしいけど
義兄さんには義兄さんの仕事がある


仕事の息抜き程度になってくれればいいなぁ




「義兄さんは本当に不器用だなぁ」


切った食パンにバターを塗るだけの作業なのに、ベタベタに塗っている


まぁ、義兄さんらしいけどね


「ふー…むー、やはり慣れん」


「ほら、貸して」


残りのパンも適量に塗っては目玉焼きを作り、サラダを作って完成



「さて…、」

「「いただきます」」


朝は軽めにパンを食べることが多い、作るのは簡単だし手間が省けるから何かと楽だ



「今日も学校かぁー」


「今年こそ、皆勤賞だからな」


「えー、今日は霊界に居たいよ」


「サボりは良くないぞ」


「はいーはい」


高校生活を三回繰り返してるけど一度も皆勤賞をとったことがない。
なにかと休んだりしてるからね、霊界のことで


「昨日はどうじゃった?」


「んー、クラスのなかにファンクラブがあって五月蝿い」


「馴染めそうか」


「頑張れば…ね?」


「頑張ればじゃなくて頑張るのだ!」


「はーい」


口一杯に詰め込んではごちそうさま
食べるペースは誰よりも早い

学校での給食の時間とか苦痛だった


「そうだ、澪」


「ん?なに義兄さん」


「実は霊界探偵をまた始めようと思ってな」


「ふーん?また…」


「ぼたんと一緒にどうだ」

「幻海さんと遊ぶ方が楽しいからお断り」


「なんだ、ちゃんと会いに行ってるのか」


「行ってますーっだ」


義兄さんに預けられてから霊力を上げるために幻海さんのところに連れていかれた



皆は怖いと言うが私はなんとも思わない。


幻海さんにも体のことは話してある。


「それに私、ぼたんさんと仲良くないし」


「なぜ、仲良くしない。もう、何年の付き合いだ」


「分かってるけど、無理なものはむりー!!」



一時期は凄く仲が良かったけど今は全くすれ違っても会釈程度
話すことは霊界の仕事ばかり

プライベートな話はしたことないかも


「はぁ…、妖怪とは仲が良くても人間となると駄目なんだな」


「に、義兄さんは違うよ!」


バンと片手で力一杯テーブルを叩いてしまった。

義兄さんを驚かすつもりはなかった

「お、怒るな」


「怒ってない…、朝からごめんね」


「ビンタに比べたら軽いもんだ」


笑ってくれる義兄さん
こんな時間が幸せに思える

「まだ、学校に行かなくて良いのか?もう30分前だぞ」

「うぇ!?マジで!」

「朝から世話しないやつだ」


「あわわわ、急がなきゃ!!」


食器洗いは義兄さんに押し付けて、私は制服に着替えて身だしなみを整えた


「それじゃ、後の事よろしく!!」

「ちゃんと、連絡を寄越すんだぞ」


「はぁぁぁい!行ってきますっ!!」


朝からダッシュ登校

起こすならもう少し早くに起こしてよね
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ