くぁと1つ大きなあくび

膝の上には私に撫でられ気持ち良さそうに眠るシロさん

縁側に座りビチビチ跳ねる金魚草を眺めのんびりした休みを過ごしていた

たまには何もしないでダラダラ過ごす休みもいいものだなと、二度寝しようか迷いだしたまどろみの中鬼灯は一人思った

真っ白でふわふわな毛をモフモフしようとギュッと抱き締めようとしたとき後ろから突然した大声にシロは跳ね起きた

「あーーーっっ!!なにしてんのっ!?」

声の主は顔面蒼白でドスドスと足音を荒げて足早にこちらに向かってきていた

「おや、白豚さん。今日は私休みなんですが」

モフモフを邪魔されて少し不機嫌な鬼灯は逃げようとするシロを更にギュッと抱き締めて恨めしそうに白澤を見た

「知ってるよ!!だからこっちに来たんだろ!なのにお前ときたらっ」

「なんです?」

「この僕を差し置いてシロ君にモフモフするなんてっ!!」

そこは僕のポジションなのにぃ!

キィィと口に三角巾を咥えて白澤悔しい!とかぬかす姿にため息を一つ

「シロさん、申し訳ないのですが…」

「うん、いいよー!じゃぁ俺帰るねー!」

モフモフに後ろ髪引かれる思いで足元にそっと置いてやると、シロはニコニコしながら花咲爺を歌いながら去っていった

「しくしくしく」

「なんですかだらしないですね」

「だって、お前が…」

「ほら」

「?」

そう言って鬼灯は白澤に向けて両手を伸ばす

「早く来なさいと言ってるんですが」

「…鬼灯ぃぃ!!」

白澤も両手を広げて抱き締めようとした瞬間、広げていたはずの鬼灯の腕は白澤の頬を殴った

「げふぅっ」

「誰がそのままの姿で来いと言いましたか!!神獣の姿じゃない時のあなたに価値はありませんよ!」

「ひどっ」

それでも鬼灯と触れ合いたい白澤はシクシクと涙を流しながら姿を変え、鬼灯のそばへふわりと飛んで座った

白澤の柔らかい体に背中を預け、ふわふわくすぐるように頬を撫でてくる尻尾を優しく撫でる

「…」

「…」

2人並んで特になにを話すでもなく穏やかな時間が過ぎる

心地よい風が吹いて、鬼灯の髪がなびいた

微かに鬼灯の香りがする




「…好きだよ、鬼灯」

「…」

「…鬼灯?」


すー すー


「…寝てる」

やれやれと笑って小さな溜息をつく

伏せられた瞼はしばらく開くことはないだろう

ならばせめて体を冷やしてしまわないよう、白澤は体を丸めて鬼灯を優しく包んだ


「おやすみ、鬼灯」

頬にキスするようにぺろっと舐めて白澤もそっと目を閉じた




――――――――――――――――――
...End...

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