ディターミナ
□入団準備
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ラギの入団許可がでた翌日
ラギはシルムを連れレニーのいる病室で多量の資料と向き合っていた。
『えっと…これがこうで…ああもう!分かりませんよ…』
『合ってる合ってる。あと半分だ頑張れ』
『やり込むのもいいけど、一段落したら休憩しましょ?お茶いれるからね』
『きゅっきゅーっ』
ディターミナでは原則、新入り団員は試験監督をした先輩団員の弟子となり、まず知識と最低限の技術を身に付ける。
例外もあるがラギの場合は特に理由もないのでそのままレニーとリオの弟子につくことになった。
故に今もこうして文字を教えて貰ったりしている訳なのだが…
今まで文字という文化に触れてこなかったラギにとって文章を読むということは予想以上に難しいものだった。
文字というより図形を丸暗記するような感覚。
レニーは文字一覧を書き出してやったのだが、音と文字が一致せず1人ではまず覚えることができなかった。
『都市の方達ってこんなこと子供のうちから覚えてるんですよね…
恐ろしい…』
『都市でなくてもそうだが、子供ん時はわざわざ覚える苦労もなかったような…』
『それが子供の凄いところよね、すぐ学んじゃうんだもん』
識字に関してラギはもちろん、教えている側の主指導員のレニーも精神的にヘトヘトになっていた。
一方副指導員であるリオは仕事が一段落したからと先程お茶とお菓子をもって病室にやってきたばかりで、休憩の準備をしながら2人を見守っている。
シルムはと言えば気楽なもので、ぴょこぴょこと室内を徘徊し、今はレニーの膝に座って主の勉強を覗いていた。
『よし。お茶入ったわよ、休憩する?』
『やった!』
休憩と聞いたラギは資料からガバッと顔を上げ、待ってましたとばかりに目を光らせる。
レニーもラギの反応に少し呆れを見せたものの、自分も動かずただひたすら教えることに堪えていたので賛成し、
のんびりと歓談タイムへと突入した。