SPEC小説

□花言葉
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「お前にやるよ…。」

突然、差し出された四つ葉のクローバを戸惑い ながら受け取った。

「あっ…あーざす…」

「それ大切にしろよ。 四つ葉のクローバの花言葉がお前に対する、俺 の気持ちだ。 わからなかったら調べろ」

そう言うと、瀬文は寝転び目を閉じた。

あたしに対する気持ちって…? 四つ葉のクローバの花言葉? 聞いた事があるような…

「あっ…。」

思い出した。 学生の時、友達から聞いた四つ葉のクローバの 花言葉…

『Be mine』 (私のものになってください) (私のものであってください)

「瀬文さん花言葉、友達に聞いたの思い出しま した…」

当麻は頬を桃色に染め寝転ぶ瀬文に話し掛け た。

「花言葉がわかったのなら、それでいい。 そのまんまだ…当麻、俺のものになれ…」 当麻は口をパクパクさせ、何か言いたいようだ か上手く話せないでいた。

「なっ、なっ、何で瀬文さん花言葉を知ってる んすか!? つーか、何でいきなり告ってくるんすか!?」

当麻は今にも口から心臓が飛び出しそうな ぐらい、ドキドキしていた。 瀬文は体を起こしながら説明した。

「あぁ…。花言葉は係長に聞いた。 係長が雅ちゃんに四つ葉のクローバもらったっ て喜んでて、ついでに意味を教えてくれた。ち なみに、葉っぱ一つ一つにも意味があって希 望、誠実、愛情、幸運だそうだ。 で、いきなり告ってるけどお前に対する、気持 ちは前からあった…。 今日、四つ葉のクローバ見つけて気持ちを伝え ようって決めた。 返事は、急がなくていい。お前が俺の気持ちを 受け入れられないなら、諦める。」

瀬文は、当麻を見つめ返事を待った。 当麻は、俯き少し考えたあと話し始めた。

「あたしも…あたしもその四つ葉のクローバの 花言葉と一緒です。 瀬文さんが、あたしのものであってほしいと思 います。 あたしは、瀬文さんのものになりたい…」

当麻は少し目を潤ませ恥ずかしそうに瀬文を見 つめた。 瀬文は、そんな当麻を愛しく感じ優しく頭を撫 で微笑んだ。

春の陽気。 恋の季節。 新しい世界が、また始まる…
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