SPEC小説
□新〜Newly〜
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「なぜ、絵本なのか気になります?」
「気になるな」
「知りたいぃ?知りたいぃ?」
「知りたいな」
当麻は、いつものぶりっ子ポーズで瀬文の顔を じっと見て少し間を置いたあと、瀬文の手を掴 み自分のお腹に手をあてた。
「読み聞かせしようかな…と思って。 まだ、聞こえないと思いますけどね」
少し、恥ずかしそうに瀬文を見つめ答えた。
「まさか、お前…。」
「出来たみたいすっ♪ あたしと、瀬文さんのbabyちゃん。 家族には言いました♪ みんな喜んでくれて、陽太は兄弟ができるみた いってはしゃいじゃって…。 瀬文さんは捜査で忙しそうだったし、今日帰っ てくるってメールあったから、ゆっくり話そう と思って」
そんな、当麻の話を放心状態で瀬文は聞いてい た。
「ちょっと聞いてます?しっかりして下さい よ!」
「あぁ…すまない。驚いて…」
少し、戸惑う瀬文の姿に当麻は心配になった。 親になるのは、嬉しくないのか? 子供はまだ必要じゃないのか? よからぬ考えが過った。
「嬉しくないんですか?」
当麻は不安で泣きそうになった。 もっと、喜んでくれると思ったのに… そんな事を思っていると、お腹をいたわるよう 優しく包み込むように、ふわりと当麻を瀬文は 抱き締めた。
「嬉しいに決まってるだろ。 お前と家族が作れるかと思うとワクワクする。 ありがとう、当麻…」
瀬文は泣いていた。 嬉しくて、幸せで…。 瀬文の喜ぶ姿を見て不安はなくなった。
「明日、病院に行くんですけど瀬文さんも来ま すか? まだ小さいし、よくわからないけど、エコー画 像見たら、めっさ可愛いすっよ♪」
「もちろん、行くに決まってる。 早く見たいな…俺とお前の愛の結晶…」
瀬文の月9台詞に思わず、吹き出す当麻だった が嬉しくて、楽しくて仕方ないと思った。
この、世界で一番大好きな人と生きている。 大好きな人の遺伝子を残せる… そう、思うだけで未来が輝くものになる事に 幸せを感じる二人だった。