SPEC小説

□新〜Newly〜
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当麻はいつものように時々、不気味な笑い声を 発しながら本を読んでいた。

やっと事件が解決し、一週間ぶりに自宅へ帰っ て来た瀬文は、またいつもの俺には訳がわから ない論文でも読んでいるだろうな…と思いなが ら覗くと、当麻が読んでいる本を見て驚いた。

当麻が読んでいたのは絵本だった。

「お前、それ絵本だよな!?」

瀬文は驚き思わず大きい声を出してしまった。

「うっさぁにゃ〜そんな驚くことですか? 何?あたしが絵本読んじゃいけないんすかっ? 何罪ですか!?犯罪ですか!? 大人はメルヘンな絵本を読んじゃいけない罪で すか!?」

当麻はいつものようにまくし立てた。

「いや、そうじゃねぇよ。 ただ、いつも訳がわからない論文読んでるから 驚いたんだ」

「論文は訳がわからない本じゃないですよ。 それに私だって時々、絵本読みます。 陽太が小さいころは、読み聞かせてましたし、 今も実家に帰ると陽太が読めってせがんでくる し…」

瀬文は、ますます驚いた。 あの、ニノマエ…陽太が当麻に絵本を読んでも らってるとは…。

「ニノ…陽太いくつだ? 絵本って歳か!?」

「陽太は、まだまだ子供ですよ♪ アニメヲタだけど、メルヘンな絵本とかも好き で読んでるみたいだし」

当麻は、陽太の事を話しながら笑顔で絵本の ページをめくった。 その姿が可愛らしく、瀬文には愛しく思えた。 同時に、なぜ今日は論文ではなく絵本なのか 気になり覗き込んだ。
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