†Short Novel
□†別れの約束
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開け放たれた窓から、風がかすかに薫る春を運んできて、私の制服のスカートを翻す。
今日という日を境にお別れ。
当たり前のように校内に足を踏み入れ、下駄箱で靴を変え、教室に入る。
友達に挨拶をして、自分の席につく。
面倒だなって思いながら授業を受けていた毎日が。
今日で終わり。
たくさん笑って、たくさん泣いて過ごした三年間。
友達とはしゃいだり、喧嘩したり……恋をしたり。
明日からは皆、別々に進んでいく。
自分の選んだ道を。
私の前には、どんな道があって、どんな風に歩んでいくのだろう。
それが正しい道なのか…まだ…はっきりしていないけど……。
時間は止まらない。
今日と明日では、当たり前の生活が大きく変わるけれど、きっと変わらないものもあるって信じてる。
「忘れ物とりに行くだけで何分かかってるんだよ!はやくしろって。皆待ってるぜ」
「ご、ごめん!今行く」
廊下から叫ぶ声に答えながらも、やっぱり少し寂しくて、もう一度、自分の席の机に触れた。
「まだかよ。打ち上げ始まるぜ?先行くからな」
「あ!待って!」
催促の苛立った声に押されて、私は慌てて教室を後にした。
のこされたのは、誰もいない教室と、机に彫られた文字だけ。
『卒業おめでとう!また、必ず会おうね』
それは三年間ともに過ごした仲間との約束。
End...