ジョジョ3

□18
1ページ/1ページ



現在ジョースター一行の中には微妙な空気が流れている。様々な奇行を行ってしまった典明とポルナレフを代表としたほかの人たちの間にはなんともいえない嫌なムードが漂っていた。なんかこの空気の一端は私のせいの気がする。原作ではここまでポルナレフはともかく承太郎の視線はきつくなかったわ。ご、ごめん典明。



「だ、大丈夫典明?取り敢えずごはんは食べるべきだって。食べないとこのしんどい旅はやっていけないよ」


「ああ、ナマエちゃん。そういえば僕はセスナに乗っているとき君の腹部を蹴り上げたらしいじゃないか。本当にすまない。僕は女性に向かってなんてことをしてしまったのだろう」


「あ、いや大丈夫だよ典明。ほら、私物理攻撃は効かない能力だしさ、気にしないで。本当に気にしないでいいから」



そう項垂れながらすまなさそうに典明がいう。まあその件に関してはちょっとびっくりかなりすごく驚いたけど典明なら許してあげるよ。君がそうしたくてしたんじゃないことは知ってるし典明なので許します。ポルナレフなら許しません。こういう時に日ごろの行いとイケメン力に差が出てくるのさ。典明は※ただしイケメン、なので超許します。承太郎でも許したな。ポルナレフだけは許しません。



「君は優しいね。ありがとうナマエちゃん。でも本当にすまない。僕はどうしてこんなことになったのか自分自身でもわからないんだ。漠然とした不安感が払拭されない。でもなにかヤバいことになっている気がしてならないんだ」


「あ、それは私もそう思う。この状況はただの事故じゃなくて何かに巻き込まれてるんだと思う。というか典明がその状態なのでかなりおかしいよ。寝てたのに疲労感が取れないどころか疲れ果ててるってどういうことだ。ぶっちゃけ新手のスタンド使いの攻撃を受けてるんじゃないかなと思っております」


「!!君もそう思うのか!僕もなんだ!僕もこの状況はスタンド攻撃を受けているような気がしてならないんだ。でも新手のスタンド使いがどこにいるかもどういう攻撃を受けているかまるで想像つかなくて、僕のただの被害妄想なんじゃないかって不安になって、痛っ!」



典明の漠然と不安に思うその感覚は正しい。現在は進行形で敵の術中内です。注意しましょう。にしてもスタンド攻撃受けてない?と典明の不安を全肯定したら予想以上に食いつかれてちょっと申し訳なく思う。いやまあポルナレフは論外として承太郎ですらなんとなく典明を疑っている節があるから信じてもらえるのがうれしいのはわかるが、ごめん私はカンニング野郎なんです。初めから答え知ってるだけなんです。君を信じてるからこういってるわけじゃないんです。いや、もちろん典明のことは信じてるけれど。ああヤバい、良心がジクジク痛みます。むしろ原作知ってるのにこの状況に追い込んでごめんなさい。私が原作知っているという秘密は墓までもっていこう。知られたら典明の私への視線が180度変わります。

で、マシンガントークを行っていた典明が急に痛いといって左腕を押さえた。え、なに?左腕がどうしたの?封印されし邪神のかけらでも痛むのですか?まあ典明に限ってそんな厨二病を発症させるとは思わないけど、って血が出てるじゃん。ガチで怪我でした。大丈夫か?



「典明、血が出てるけど大丈夫?」


「ああ、大丈夫だ。今朝も切ってしまったのだがどうやら墜落の時にまたやってしまったらしい。取り敢えず軽く手当てをして、」



そういいながら典明は制服の袖をまくった瞬間そこにあったものを見て息を呑み込む。私もそれを見てあ、と言葉をもらした。そうだ、ここに書いてあったのか。典明の腕には“BABY STAND”というように彫られていた。



「ど、どういうことだ。“BABY STAND”と読めるぞ?僕の筆跡だ。だが覚えていない。なんなんだこれは。僕はものすごく大切なことを忘れてしまっているような気がする」


「うわっ、痛そう。これ本当に典明大丈夫か?確かにこの文字は“BABY STAND”って読めるよ。私にも読める。間違いない、これは“赤ん坊 スタンド”って書かれてある。筆跡は典明のものなんだよね?ならこれは軽んじてはいけないと思う。すっごく絶対にめっちゃ大切なことのはずだ。だからこの意味について考えてみよう」



ナイフでグサグサ彫ったわけだから見た目に痛そうなわけだが典明は文字の内容に興奮してアドレナリンでもでているのか気にしていなさそうなので怪我の心配はひとまずおいといく。内容について注視しよう。

ほら、典明。BABY STANDだよ?BABY STAND!何か思い当たることがあるだろ?別にここで私が正解を言ってしまってもいいけど実際に死神13と戦うのは典明なわけだし自分で答えにたどり着いていただきたい。まあそれに難しくもないだろ。BABY STANDで行きつく先は一つしかない。



「僕は今とても恐ろしい想像をしている。あの赤ん坊がスタンド使いなのではないかって、」



そう典明は震え声でいった。正解です!めっちゃ正解です!いやっほー!典明!君ならその答えにたどり着いてくれるって信じてたよ!よかった、取り敢えずこれで典明は夢の世界と赤ん坊に危機感を持ってくれるよ!



「だが、生後11か月の赤ん坊がスタンド使いということがあり得るのだろうか?」


「あり得るかあり得ないかで言えば全然あり得ると思うよ。世の中には猿のスタンド使いや電柱のスタンド使いがいるんだから赤ん坊のスタンド使いくらい普通にいるって。問題ないです」


「猿はともかく電柱って、それってポルナレフのことかい?ふふふ、君も結構辛辣だねナマエちゃん」



そういって面白かったのか典明はクスクスと笑った。辛辣?いいえ事実です。文句があるならあの奇妙な髪型にいいましょう。だいたい私のいうことを全く信じないでケラケラ笑ったポルナレフのことなんてかまうこっちゃない。奴は夢の中でも電柱をはやしとけばいいのだよ。

典明はある一定まで笑っていたが少し落ち着くときりっと表情を引き締めた。今、敵に内部に入られたまずい状況であると理解したらしい。



「本当にあの赤ん坊がスタンド使いだったらジョースターさんたちに言った方がいい。あの赤ん坊の能力はまだわかってないが危険すぎる」


「いや典明。今は言わない方がいいと思うよ。こういってはなんだけど典明は錯乱してると思われてるし赤ん坊をスタンド使いだなんていっても信じにくいと思う。それにポルナレフに何か今の状況はおかしいっていう風に相談したのにあいつ笑いながら疲れてるなら早く寝ろよってまるで聞いてくれない。おのれポルナレフ!というわけでジョースターさんたちに言っても信じてもらえないと思うので今は黙してどうすればいいか考えよう」



今残念なことに典明に対するジョースターさんたちの信頼度は飛行機を墜落させたことからとても低い。説明したところで錯乱したと思われる未来しか見えないので却下する。しかも何故だかわからんけど私の信頼度も合わせて低いんだよ。今だって承太郎がこっちに睨みつけるような視線を送ってくるし私が何をしたというのだ。取り敢えず承太郎の目つきが怖いのでこそこそと典明の陰に隠れることにする。あれは人をも殺せる視線です。

そんなわけで私たちの言葉はジョースターさんたちには届かない。そういうと典明もうんうんと頷いた。



「そうだね、ナマエちゃんの言う通りだ。今は機会を伺おう」


「イエース典明!そうした方がいいと思う。にしても赤ん坊まで刺客でやってくるなんて世も末だね〜。そんなサバイバル時代で生きたくなかったわ」



そんな感じで赤ん坊を監視しつつ典明と話しながらサウジアラビアの砂漠の夜を過ごす。あー、月がきれいだねって言ったら典明にあれ、僕口説かれてる?って返された。何言ってるかわからん。続けて星もきれいだねっていったらそうだね、って返された。うん、なんだったんださっきのやりとりは。よくわかりません。

それからちょっと乙女の事情で席をはずして(深く追及しないでくれ。強いて言うならお花摘んでました)戻ってきたら典明が倒れてた。ええええええーーーーーっ!??何があったんだ!!??



「え、ちょっ、なんで典明が倒れてるの?集団暴漢ですか?おのれポルナレフ!わが友典明の仇だ!食らえ風の残像!」


「なんで俺だけピンポイントで風弾打ってくるんだよ!ちげえよ!花京院の奴がおかしくなって赤ん坊を襲ったんだよ!」



倒れている典明を見て衝動的に風弾を打つがポルナレフの言葉を聞いて状況は把握した。あれだ、つまりこれは典明が赤ん坊がサソリを殺すのをみて強硬手段に出たがポルナレフにやられてしまったというあのシーンなのだ。典明の心情を考えると涙が零れ落ちるよ。みんなのためにやったのにポルナレフに殴られるなんてかわいそうに。やっぱりポルナレフは許せんな。もう一発風弾を打っておこう



「なんとなく流れはわかってけど典明だけでなく私もその赤ん坊は怪しいと思うよ。ほら、展開的にもどう考えてもそいつスタンド使いだろ」


「展開ってなんだよ。生憎俺は清く正しい心しか持ち合わせてないからこんなカワイイ赤ん坊を疑うことなんてできないね。ナマエは母性が足りないんじゃねえの?」


「なんだと!」


「まあまあ。この赤ん坊のことは明日花京院が目を覚ましてからみんなで考えればいいだろう。今日はもう寝よう」



ポルナレフと私の口論を年長者であるジョースターさんが諌める。だけれど明日じゃ遅いんだって!このスタンドは夢の中で襲ってくるんだよちくしょう。典明大丈夫だよね?ちゃんと地面にハイエロ潜り込ませているよね?ダメだ、わからない。潜りこませてなかったらどうしよう。

みんなが寝袋に入っていく。私も取り敢えず寝袋に入った。

典明がハイエロを潜ませたかどうかわからない以上すべきことは一つ。それは眠らないことだ。死神13は夢の中でしか力を発揮できないスタンドだ。だから誰かが起きていて危なくなったら起こせばいい。夢の中から出してやればいい。これで解決だ。だから私は起きているのだ。別に寝なかったら最悪私だけは助かるとかそんなせせこましいことを考えてるわけではない。本当だぞ?私はただみんなの身を案じて起きてるのだ。あー、寝ないのしんだいなー。私は頑張ってます。

しばらくすると赤ん坊が起きだし食事をとったりケラケラ笑ったりタバコすったり好き放題し始めた。これってみんなヤバいのかな?起こした方がいい?ヤバくなったら起こせばいいと思ったけどいつヤバくなるのかわかりません。しまった!ナマエちゃん痛恨のミス!マズイ、典明起こそうか?!

と思ったけど赤ん坊が苦しみ初めてそして寝床に戻りばたりと倒れた。どうやら大丈夫っぽい。典明はちゃんとスタンドを夢の世界に持ち込んでいたのだ。やれやれよかったよ。これでもう大丈夫だね。おやすみ



朝起きると典明が朝食の準備をしていた。顔を洗って典明の手伝いをする。砂漠の真ん中でこれだけの食事を作れるなんてすごいな。典明女子力高っ



「おはよう典明。手伝うよ」


「おはようナマエちゃん。昨日は大丈夫だった?君だけ夢の世界にいなくて心配したのだけど」


「ああ、昨日はなかなか寝付けなくて寝るのが遅くなってしまったんだ。それで会えなかったんじゃないかな」


「そうか、無事ならいいんだ。さて、朝食の準備もできたしみんなを起こそうか。僕は赤ん坊の食事を用意するからナマエちゃんはみんなを起こしてくれるかい?」


「おっけー。まかせてくれ」


鍋を火にかける典明に頼みごとをされるんるん気分で3つ並んでいる寝袋のところへ行く。さてどうやって起こしてやろうか。特にポルナレフ、君には昨日の恨みがある。優しく起こしてもらえるなっておもうなよ?食らえ最大出力の風弾!



「あ、ナマエちゃん」


「は、はいっ!なんでしょうか典明くん!」



邪なことを考えていたタイミングで声をかけられて思わず飛び上がる。な、なんでしょうか典明くん。私はいけないことなんて一切考えてませんよ?ポルナレフの髪をパイナップルヘアーにしようなんて考えてませんよ?私はいい子です!はい、用事はなんですか?



「ナマエちゃん、あのね」


「はい!なんでしょう!」


「僕を信じてくれてありがとう」


「へ?」



そういうと典明はにっこり笑ってもう一度言葉を繰り返した。



「僕を信じてくれてありがとう。君に信じてもらえてとても心強かった。本当にありがとう」


「いや、別にたいしたことはしてないよ?実際にスタンドと戦ったのは典明だし」


「それでも僕はうれしかったんだ。ありがとうね」



そういって典明はできた朝食を持って赤ん坊のところに行ってしまった。いや、だからその私は初めから答えを知ってましたというかアレなんだけれど、

それでもなんか典明にお礼を言われるのが照れくさくてごまかすためにポルナレフの尻を蹴飛ばしてやる。

死神13戦で一番の収穫は典明と仲良くなったことです


19

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ