story

□シオン
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「ねぇ、ミケ。私を抱いて。」

ナナバは突拍子もなく、あの日、ミケをそう誘った。

しかし、その声音からして、いかにも彼女らしいものであった。



細く、白い首筋は女性には
珍しくうなじを刈り上げるような髪型で、
惜しげも無く晒されていた。

金糸の髪に蝋燭の灯りが反射して橙色帯び、
ヘーゼルの瞳は気高い鳶を連想させる。

目の前の彼女は艶やかな薄い唇を開き、続ける。

「ミケ、私は貴方が愛おしいよ。

今まで私達は共に戦ってきた兵士だ。

だなら、今私はここで貴方に思いを伝えよと思う。」


ミケは喉からやっとの事で言葉をつかみ出したが、
調子外れな声しかでなかった。

「…ナナバ、それはどう…」
「そのままの意味だよ。

ミケは本当に鈍いよね、鼻は効くのにさ。

…今この状況下で私はなりふり構っていられないんだ。」




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