story
□カイザイク
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溢れんばかりの花のかんばせ。
細く艶の有る赤毛を揺らめかせる。
はっきりとした鼻の辺に影が落ちている、彼は死体となった彼女を見る。
暖かな笑い声だけが、頭の中に一瞬だけ聞こえる。
ーーーー…兵長!
俺は彼女の名を呼んだ。
彼女は俺の俺自身の名を読んだ事がない。
彼女の声が頭から再生されていく。
死体の顔が綺麗に残っていた。
いっそ、誰だがわからないほどに損傷していれば、こんな思考を巡らすともなかったのだがと思う。
思い出したくない。
目の当たりにしたくない。
後悔したくない。
ーーーー…なぁ、ペトラよ。
………………
何時もは、亡くなった兵士への言葉は直ぐに口に出て来た。
感情をそのままに、言葉に出した。
今の、ペトラを目の前にしてリヴァイは何も言えないでいる。
彼の言葉は、彼女にまだ向けられていない。
しかし、彼女は、…