小説

□俺だけに見せて…
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仕事から帰ってきて

梓が熱で倒れた…と

そう雅にぃに聞かされて
俺はすぐ梓の部屋に向かった。

雅にぃはこれから急な仕事が入ったらしく
すぐ家を出てしまった。

梓の部屋に着いた俺は合鍵で中に入っていった


部屋に入るとしーんとした部屋から苦しそうな息遣いだけが聞こえた。

梓は眠っていた。

顔色が悪く苦しそうにしていて見ているこっちまで辛くなるほど…

すでに温かくなったタオルを退け、
額に手を当てるとすごく熱かった。

このごろ梓は仕事が忙しく、
疲れが溜まっていて…
体調管理を怠ってしまったのが原因だろうか。

そう考えていると梓が起きたようだ

……ぅ、……つ、ば…き…?

起きたばかりで熱があるせいか
まだ意識がはっきりしていないようだった

梓っ!!

俺は梓を抱きしめた

……つ、ばき…?

梓は急に抱きしめられ驚いていたが、
すぐ俺の背中に手を回した。

梓ぁ…良かった…俺、梓が倒れたって聞いて…
あのときのこと思い出して…

あのときとは梓が病院へ入院せざるを
得なかったときだ

……ごめん。と一言

梓は掠れた声で言った

起きているのは辛いと思い
再び梓をベッドに寝かせ、
体温計を梓の脇に挟む

しばらくしてピピッとしーんとした部屋に電子音が響いた

体温計を引き抜き、
表示された数字は39.4℃だった

梓の平熱は35℃台だからかなり辛い

熱が高いね……薬は、ある?と聞くと

雅にぃから、貰ったのがそこに……

梓が指差すテーブルに目を向けると
薬と思わしき袋があった

……梓、食欲、ある?

……ごめん、今は食べたくない…

梓は今の状態から食べたら気分が悪くなってしまうと思ったのだろう

薬無いと辛いよね?
だったらこの薬しかないかな…?と言って
俺は座薬の入った袋を見せる

……僕は平気だから…薬はいいよ……//

熱のせいか恥ずかしさからか
梓は顔を真っ赤にして

そぉ?全然へーきには見えないけど……

いーから、俺に任せて☆
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