小説

□もっと甘えて
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朝から身体が重かった。
疲れてるんだ、と思って仕事に行った。

帰る頃には身体が辛くて、ふらふらで、
まともに歩けなかった。

ご飯を食べる気分ではなかったので
そのまま部屋に戻って寝ることにした。

着替えることも億劫になり
そのままベッドに横になった。

僕はすぐ深い眠りについた。



朝から梓の様子がおかしい。
俺が抱きついても何の反応もしないし、
とにかくボーッとしていた。

大丈夫って言うから
俺は仕事で先に家を出た。

リビングにひとり梓を残して。

そのあと、梓も仕事に行ったみたいだけど
一向に梓はリビングに顔を出さない。

食事の時間までには帰るって言ってたのに...

部屋に居るのかなって思って部屋を訪ねると
居ないのか出なかった。

梓の部屋で帰りを待とうと思って
合鍵で部屋に入ると部屋は真っ暗だった。

まだ帰ってないんだ...と思ったら
ベッドが膨らんでいた。

寝てるのかなと思って顔を覗き込むと
梓が顔が赤く苦しそうに呼吸をしていた。

慌てて額に手を当てると酷く熱かった。
朝から体調が悪かったんだ、何で気がつかなかったんだ、何で止めなかったんだ、と
後悔が募る。

取り敢えず、汗をかいてたから
拭いて、着替えさせた。

濡れたタオルを梓の額に乗せてやると
梓は冷たかったのか、ん...と声を漏らした。

俺は雅兄に電話して、梓のことを伝えて
診てもらうことにした。

電話から30分後雅兄は慌てた様子で
部屋に来た。

梓が心配だったらしい。

梓は退院してまだ2週間しか経ってないから
無理もない。


.....疲労から来る風邪だね。
安静にしてれば2、3日で治るよ。

それを聞いて安心した。

....ん、...つば、き...?まさにぃ?

梓、起こしちゃった?
ゴメンねー

梓、風邪だってよ?
しばらくは安静にしてなよ?

俺、スッゲー心配したんだよー(ぎゅぅ

うん、ごめん。椿。


仕事は大事だと思うけど梓はもっと自分を大事にしようね。

そう言って雅兄は梓を撫でた。

2人とも迷惑かけてごめん..

迷惑なんて思ってないよ。

そーそー、梓はもっと俺に甘えなよ。

....ありがとう。

じゃあ僕はみんなに伝えてくるね。
心配しているだろうからね。

雅兄が出ていった後、俺は梓に抱きついた。

梓ぁ、心配しただろ!!
またあのときみたいになっちゃうのかなって
不安だった...
もう、無理しないでよ。
梓だけの身体じゃないんだよ!?


...うん、ありがとう。椿。
もう、無理しない。
約束する。

俺と梓は小指と小指を絡めた。

京兄が作ってくれたお粥を食べ、薬を飲むと
梓は眠ってしまった。

俺は眠る梓の頬に優しくキスをした。

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