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□あなたよりもずるいオレ
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あまりの暑さに、吉田サンは縁側に寝転んだ。
蝉が鳴き狂う暑さとは反対に、入道雲は青空の中を気持ちよさそうに泳いでいた。
「…フィリップ、暑ぃよ…」
「そ、ですね…」
汗で額に張り付いた髪と首筋を滴る汗、お腹の半分まで捲し上げられた服から覗く、普段伺うことのない肌。上気した頬。
「………」
ごくん、
全て そそる。
「…?なんだよフィリップ。生唾なんか飲み込んで」
不思議そうに顔を上げられて、焦った。
「な、なんでも、ないで…す」
(きこえてた…)
一緒に住んでる(居候させて貰っている、)吉田サンにムラムラするなんて、いけないことだ。
我慢しなければ。
チラリと横目で観ると、吉田サンはにやりと笑っていた。
これは、何かを企んでいる時の、眼。
「フィリップ〜?」
ごろん。
ごろごろごろ。
少し離れていた吉田サンが縁側を転がって、距離を全て埋めてしまった。
0の距離に心臓が高鳴る。
焦っていると、上半身だけ起こした吉田サンがぎゅっ、と腰にしがみついて来て、もう、死ぬんじゃないかってくらい、速く脈打つ心臓をどうにもすることも出来なかった。
きっと吉田サンにも聴こえて居ただろうに。
そう思っていたら、下から、少々期待とは裏腹な声が掛かる。
「暑い。扇げよ」
何処から取り出したのかうちわを見せ付け、お腹に顔をすりすりしてくる。
そんな可愛いことして…煽ってる様にしか観えません。
それに、暑いんじゃ、なかったんですか?
、とは言えず。
「は…い」
わざと吉田サンが握っている手に掌が重なる様に受け取ると、ゆっくりと扇いだ。
体勢を仰向けに直した吉田サンが、膝の上で、心地好さそうに眼を閉じる。
「あー…涼しい。お前、意外と役に立つじゃないか」
「…ありがとう、ございま、す」
それからお互い無言になり、蝉の声に聴き入った。
そして、扇ぐ手を停めずに、さっきの扇情的な吉田サンの事を考えた。
―――…チリン、チリン…
落ちて来た陽射し。
柔らかく吹いた風に、風鈴が鳴いた。
「なあ、フィリップ…あのな…」
「?」
吉田サンは、沈黙を破ったにも関わらず、そこまで言うと寝息を起て始めてしまった。
何を言おうとしていたのか気になったが、自分の膝の上で眠る吉田サンが、本当に気持ちよさそうだから、つい笑みが溢れてしまった。
「全く、我が儘なんです…から」
吉田サンはいつも、ずるいと思います。
好きなだけオレを煽るくせに、手を出そうとすると酷く怯えた顔をして。
だから、そんな顔を観たくなくて 今までずっと、何もせず我慢して来ました。
これをしてしまえば、オレの方がずっとずるくなるのかもしれないです。
だけど今日は…今日だけは、どうか許して下さい。
オレは、そっと、寝息を起てる吉田サンの唇を塞いだ。
脳内からは、蝉の声も風鈴の音も消え、今のオレの耳に入るのは、吉田サンの、穏やかな寝息だけ。
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島根の二人好きです。
菅井君と家族石は
まだ全部観てないので、
設定とかおかしいかも
しれませんが、
今日のところは
多目にみてやってくださいorz
この二人は一緒に吉田家で住んでます←
フィリップは我慢強いと思うけど、
毎日大好きな吉田くんと
一緒に暮らして煽られてたら、
流石に我慢出来なくなると思う。
島根でずっと一緒だったから、
鷹の爪団のみんなに嫉妬されて
あんな扱いされてるんだ。
と、信じて疑わない←
2010.8.19