銀魂
□橙色の最期 弐
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「なんだよ」
着流しを必死に掴む手が小刻みに震えている。
それが観ていられないほど痛々しくて、冷たく振り払った。
なあ、なんでだよ?
なんでそんな風にするクセに、多串のとこに行くんだよ。
そんな顔すんなら俺の側に居ればいいだろ?
「…なんか言えよ」
静かに離された。
「銀、さん…僕、本当は銀さんのことが」
「ただいまヨ〜」
神楽の声が新八の言葉を遮った。
新八は慌ててごしごしと着物の袖で目元を拭うと神楽ちゃん帰って来ちゃいましたね。と無理して笑ってそのまま玄関に行っちまった。
あの新八の震えた手を思い出すと、胸を刺すような痛みを覚えた。
俺が愛したあいつはもう、多串のもんだと思ってた。
だけど、本当は?
新八は、何を言い掛けてた?
頬を濡らす橙色が、憎い。
溢れかえった無実の洗濯物達が、誰かさんに似ていた。
2010.9.12