銀魂

□新八を巡る闘い
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「ふっふっふ!新八は私のものアル」

神楽は机に片足を上げ腕を組ながら高らかにそう叫ぶと机を隔てた目の前の銀時を挑発するように顎で煽った。
銀時は、その挑発に敢えて乗る。

「なに言ってんだ神楽ァ。新八は俺のもんだから。寝言なら寝て言えよー」
「ハッ、銀ちゃんこそ目ぇ開けて寝言言ってんじゃネーヨ」
 
この、両者の凄まじい、『新八を巡る闘い』は、かれこれ一時間以上続いていた。
両者一歩も退かず新八は自分のものアピールを続けている。
ことの発端等、とうに忘れてしまっていた。

その巡る闘いの元となっている新八は、闘いが始まって丁度半刻経ったであろう時間に万事屋に出勤して来て、二人が何をしているのか訳の解らぬまま掃除に取り組んでいたのだが、また半刻が過ぎ、状況が悪化していくに連れ、やっと何を言い争っているのか理解したのだ。
そうなっては、黙ってなどいられない。

「ちょっとあんたら、意味わかんないから。僕は誰のものでもないから。掃除進まないから。ほら、神楽ちゃん、机の上に足乗せないの。お行儀悪いよ。銀さんもいいおっさんなんですから、少しは大人しくしててください。一体いつまでやってるつもりですか?」
「黙れヨ新八ィ!私は私の行儀に従って生きてんだヨ!」
「なにその自分ルール!お行儀はもうとっくの昔に偉い人が決めちゃってるものなの!勝手に作っちゃダメだから!」

新八の意見は最もである。
神楽の訳の分らない言い分に、すかさずつっこむ。
すると銀時がその場で新八に体を向け変な汗をかきながら抗議の声を上げた。
 
「いいおっさんって新ちゃん…銀さんの扱い酷くなあい…?それに銀さんまだピチピチの二十代なんだけど」
「でも銀さんもうーー歳でしょう?十分いいおっさんですよ。マダオだし」
「本格的に酷い…っ」

新八の、神楽へのものとは打って違う辛辣な言葉に、銀時は両手で顔押さえ項垂れる。
その様子を観ながらなにやら考えに耽っていた神楽が顔を上げて箒を握り締めて棒立ちする新八の方へズカズカと歩み寄って行って言い放った。

「こうなったのもそもそも新八、お前がどっちのものなのかはっきりしないのが悪いアル!この際どっちなのかはっきりしやがれヨこのヘタレ眼鏡が!」

新八は唖然とした。

「ええっなにその言われよう!僕全然悪くないよね!?」

全くそうなのである。
しかしこの理不尽な人たちは引き退がることを知らない。

「いいや、これは神楽の言う通り新八が百パー悪ぃな。もうこの際だから言っちゃえよォ。神楽の前で"僕銀さんのものなんですぅテヘッ"って言っちゃえよォほら早く」

銀時まで意味の分からない事を言い出してしまう始末である。

「もう、あんたらほんとに―――!」
 
新八は自分に言い寄って来た二人に圧倒され、二三歩後退ると、やけになって、持っていた箒の事など忘れ、目の前の二人を目一杯両手を広げ抱き締めた。















「僕は二人のものです」



その言葉に、二人は目を見開いた。
放された時、目の前には屈託なく微笑む愛しい人の満面の笑顔。

二人は同時にああこいつは、と心で呟いた。

「、これでいいでしょう?もう、変なことで喧嘩しないの。いい?」

そう言うと、新八は、先程放り出してしまった箒を手に取り、また何時も通り、掃除を始めてしまった。

銀時と神楽は、その背中を眺めながら、

(何あの可愛い生き物ォォオ?!!//// やべぇ!俺の息子がやべぇ!)

(こいつ私を悶え殺す気アルぅぅう!!!可愛すぎる!可愛すぎるネ!!)

と、各々内心絶叫していたのだった。

「ほら二人共ー?固まってないで掃除手伝って下さい」

そして二人はその言葉に、無駄に言い返事を返したのだった。












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ギャグっぽく^^
日々二人の間で新八を巡る闘いを繰り広げてたらいいなあと思ってます。

私の書く銀さんはキモいです^^^^

最後まで読んで下さってありがとうございました!










2010.4.18

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