銀魂
□貴方じゃない
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「新八、 」
「なんですか?」
銀さんは それ以上何も言わなかった。
僕も僕で、明日の分の洗濯物を今晩十に干しておくために、忙しくしていたので、振り返りもせず返事を返しただけで、もう一度問うことはなかった。
銀さんはたぶん、どうして僕が今晩十に明日の洗濯物を干して寝るのか、知っていたのかもしれないと、今になっておもう。
僕はあの時、もう少し上手に銀さんに接するべきだったのかもしれない。
そうしたら、銀さんも、あんなことをしなくてよかったのかも しれない。
きっとあの人は、僕を責めることはないとおもうけど、後悔せずにはいられなかった。
「僕、これ干してから寝るんで」
洗濯物がいっぱいに入った洗濯カゴを抱えて、銀さんを振り返ると、ばつの悪そうな顔をした銀さんが居た。
洗濯物と僕を交互に見て、どうしたものか。と、いう風に、銀さんは目を瞑る。
僕は少し首を傾げたが、すぐに銀さんは口を開いた。
「ああ、んじゃあ俺は先に寝とくわ」
「はい」
僕は普段通り、寝室の前に立つ銀さんとすれ違った。
「銀さん、おやすみなさ――」
「おやすみ」
右手を振って遠ざかる銀さんの背中と 体温が、僕の脳内に、体に 焼きついて、それから暫くの間、離れなかった。
その後、僕は銀さんが襖を閉める音で我に帰り、何度も唇を拭った。
それでも微かに残る銀さんの感覚は、僕を苦しめた。
息が詰まる。
これからアンタの隣で肩を並べて寝なきゃいけないっていうのに、一体どういうつもりなんですか。
ねえ 銀さん、
ベランダに出ると冷たい風が 体を吹き抜けた。
思わず身震いして、見上げた夜空には、ほんの少し欠けた月が青く輝いていた。
ごめんなさい
(僕が愛してるのは、)
貴方じゃない
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今作っている、土新←銀動画から 絵を抜粋致しました。
あの人とは、土方さんのこと。
新八はこの次の日に、土方さんと会う約束をしていたから、家事を済ませていたんです。
それで、銀さんは、そのことに気付いていた。
ということです。
銀さんはわざと、新八を悩ませるようなことをします。
案の定新八は、このことを切っ掛けに、いろんなことにすごく悩んでしまうとおもう。
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
2009/12/06/書
2010/01/22/投稿:夏那祈