RED MOON1
□Advantage
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「アレ、さ。なるほどちゃんにも見せようかって思ってるんだ」
「―――!!う…ッ!…ああ…ッッ!!!」
「荊に繋がれて、イケナイ実をクチに含んでる……実にカワイソウなサバトの、ね……」
突然に、内壁がイタイ位に醜いモノを締め付ける。……キミは相変わらず解りやすくて、とても綺麗なコ、だ。
イヤイヤと、とても哀しげに首を振る。
湿り気を帯びた長い前髪を左右に揺れ動かしながら、ボクか望む通りに自ら激しいTangoを舞い始めた――――。
「ア――んアア――ッアア―――ッッ!」
「ン……キミとは甘いワルツより、傀儡なタンゴの方がイイ―――」
美麗に歪む表情のまま、キミはボクの上で踊り続ける。
2/4のchances……重い狩魔の正装を纏い、その真紅が枯れて踊り疲れるまで…………。
―――翌、執務室内
高く積み上げられた案件の壁を使い、自身をせき立てるように黙々とそれらを熟し続けている。
卓上時計の秒針音が酷く耳障りであると気付いた時には、既に夕闇迫る頃となっていた。
(こんな時間か……)
早朝に本日唯一の会議を終えてから自室にと引きこもり、早6時間。
狩魔に身請けされ、Dollとして過ごした頃から、この様な方法で自己精神を守っていた。
負の思考を遮る為には、何かに打ち込む必要があったからだ。
(ム………)
目頭を押さえ、己のそんな慣習を少しばかり自嘲していた時、懐で沈黙を続けていた携帯が小刻みに震え出す。
呼び声に応え、取り出した携帯の液晶を見て、浅い溜息を、ひとつ……。