PINK CAT

□sadstic night
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 ―sadstic night―






「異議あり!本件に於いて、その追及は不当なものと判断します!!」

「ム…異議あり!検察側はこの追及から発言される内容を本件不審材料と比較する上で重要なものと公言するッ!!」


中々に白熱している二人の法廷を上から眺めながら、この案件の先を予測しながらポリポリと顎髭を掻いた。

この国の司法制度には妙なトコロがあって、基本的に『罪をどう軽減するか』の言わば減点様式となっているから、弁護士自体は些か大人しめな状況。

逆に検察側サイドは逮捕令状を出した分、ハナっから被告を罪人として扱う訳だから、いつも強気のままに踏ん反り返っている。

それが普通になっていた所へ妙に強気のコが現れて、検察側の勝訴確率がほぼ完璧の事件をひっくり返して無罪としてしまったものだから、検察側の威信的なモノが少しづつ崩れ落ち始めていた。


(狩魔クンがコレ見たら、シワシワになって怒るだろうなァ……)


無敗を誇る伝説の検事『狩魔 豪』を、見事失脚に導いた無名の蒼い弁護士。

ボクは随分早くから彼をココから眺めていたのだけれど。尖っているのは髪ばかりではなくて、揚げ足取りのツッコミも同じようにツンツンしていた。

そんな彼に興味を抱いて―――結局は撃ち落としてしまった。
法廷に立つ強さとは真逆に、メンタル面が非常に澄んで臆病な彼をボクの箱庭へ閉じ込めて住人としたのだ。

足りないと思っていた、絶滅寸前の清らかな『蒼』。彼は未だに全てを見せずに、それを隠し続けている。

薄皮を剥くようにジワジワと本性を暴く愉しみと、次第に澄んでゆくその『蒼』が面白くて堪らないのだ。


(また、負けちゃうね―――ボクのカナリアは)


灼熱の『真紅』を以てしても、彼の純粋が作り出すジャスティスの『蒼』には勝てないようだ。


先の見えた法廷に愉しみなんか、ナイ。

それよりも……この負け戦をダシにして、面白い 悪戯を考えようと思った。


(蒼いコにはご褒美を、真紅のコには刑罰を―――ね……)


互いの反応が見たいと、ボクはそう思いついてクスクスと笑う。

キミ達は、互いにボクのお気に入りだからこそ。

だから、もっと、キズつけてしまいたい――――ボクの箱庭で、共時性(シンクロニシティ)を持つ二人なのだから………。



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