RED MOON1
□恐怖快楽
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軋む言葉を
遮るグラスの先に在る
その、
十字架に、祈るだけ……
――Maria…
love me do…?
―*2『恐怖快楽』―
「う…ッッ――ああ…ッ――ンンンッッ……!!」
「何度目……だっけ?…ああ、ボクも覚えてナイんだけどさァ……」
……一体何の過ちを冒したのか、全く解らないままだった。
ただ、薔薇を届ける様に勅命を受けた。
この狩魔の証にも、微塵の非すら無かった筈―――。
「は……ッう――あ…あッ……アッ…」
「凄く吸い付いてくれてるケド……そんなんじゃ、ボクは満足できナイ」
言葉はもはや無意味なものだった。
衰えを感じさせぬまま、身体に突き刺さる、支配者。
それはまるで内部を苛むかのように……時に深く、強く、打ち付けて。
(一体……何…が…)
しかし身体は従順なまま、それに反応を示す。
自我意識を持たぬ身体は貧欲に『その先』を求めてしまっていた。
「夜が知ってる哀しみは、記憶のホネにぶら下がってるんだ……」
「うッ――く……アッ…」
「深い海のササヤキは……キミにはきっと、聞こえナイんだろうねぇ……」
今の自分にとって、ただ唯一縋れるもの……
それは、内部を犯し続ける支配者に【許される事】―――――
だからこそ、ひたすらにその『終焉』を待つ。
その唇から生まれ落ちる言魂が止み、この身体に触れる…その時まで。