RED MOON1
□Memory
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篭に飼われたキミは
霧の宴に一人連れだされ
溺れてる魚のよう
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『Memory』
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綺麗に整った顔が、堪え切れないと嘆く歪みとなる―――そんな一瞬が、とても好きで。
その表情を閉じ込める機械の眼が、手錠で拘束された御剣の姿を無情のままに見つめていた。
「それねぇ、あの時の押収物なんだケド……どんな感じ?」
体内を無遠慮に蠕くモノは小刻みな振動と疇りを繰り返して。
浅く、時折深く。
萎える事を知らないソレに玩ばれながら、視界の先に有る満面の笑みに、そんな醜態をさらけ出していた。
「ン…ァ…お許し…下さ…ッ……!」
「ボクは感想を聞きたいんだよ?……懇願はイラナイなァ…」
言葉はひたすら『許し』だけを乞いていた。
口から溢れる声が、蠕くモノから与えられる快楽を素直に現しているのに。
それでも、言葉をと…勅命されて。
「じゃ、言えるようにしてみる?」
「――――!!」
厳徒は手にした小さなリモコンのツマミを最大に回す。
すると御剣の瞳は、一瞬大きく見開いて、瞳孔は一気に収縮した。
息をするのもままならない、吐精への痺れに飲み込まれながら。
それが『喘ぎ』なのか『言葉』なのか…その判断すら出来ずに、声は溢れる。
「ン…ァッ…イ――イ!…イッ……ッ!!」
「ふぅん……イイんだ?中々のオモチャだねぇ、コレ」
ツマミを最弱にして、厳徒は何も変わらぬスタイルのまま、ツカツカと御剣の前に歩み寄った。
床に吐き出された白い血の、幾何学な模様の上に立つ支配者は物憂げに『カワイソウだね』と呟く。
モーターの駆動音が骨伝いに鼓膜を震わせ、ノイズの海に浮かぶ様だった。
「試食はオシマイだけど…ハイ、これ。」
拘束を解かれた手に、握らされたリモコン。
深く凭れた椅子の中で、御剣は虚ろに厳徒の口許を見つめた。
「やってみて?」
「…………――ンッ…!」
その唇が身に触れぬ限り、この刻に終わりはない。
ただこうして従うのみ、だっだ――――。