RED MOON1

□Memory
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篭に飼われたキミは

霧の宴に一人連れだされ

溺れてる魚のよう




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
   『Memory』
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綺麗に整った顔が、堪え切れないと嘆く歪みとなる―――そんな一瞬が、とても好きで。

その表情を閉じ込める機械の眼が、手錠で拘束された御剣の姿を無情のままに見つめていた。


「それねぇ、あの時の押収物なんだケド……どんな感じ?」


体内を無遠慮に蠕くモノは小刻みな振動と疇りを繰り返して。

浅く、時折深く。

萎える事を知らないソレに玩ばれながら、視界の先に有る満面の笑みに、そんな醜態をさらけ出していた。


「ン…ァ…お許し…下さ…ッ……!」

「ボクは感想を聞きたいんだよ?……懇願はイラナイなァ…」


言葉はひたすら『許し』だけを乞いていた。

口から溢れる声が、蠕くモノから与えられる快楽を素直に現しているのに。

それでも、言葉をと…勅命されて。


「じゃ、言えるようにしてみる?」

「――――!!」


厳徒は手にした小さなリモコンのツマミを最大に回す。

すると御剣の瞳は、一瞬大きく見開いて、瞳孔は一気に収縮した。


息をするのもままならない、吐精への痺れに飲み込まれながら。

それが『喘ぎ』なのか『言葉』なのか…その判断すら出来ずに、声は溢れる。


「ン…ァッ…イ――イ!…イッ……ッ!!」

「ふぅん……イイんだ?中々のオモチャだねぇ、コレ」


ツマミを最弱にして、厳徒は何も変わらぬスタイルのまま、ツカツカと御剣の前に歩み寄った。

床に吐き出された白い血の、幾何学な模様の上に立つ支配者は物憂げに『カワイソウだね』と呟く。

モーターの駆動音が骨伝いに鼓膜を震わせ、ノイズの海に浮かぶ様だった。


「試食はオシマイだけど…ハイ、これ。」


拘束を解かれた手に、握らされたリモコン。
深く凭れた椅子の中で、御剣は虚ろに厳徒の口許を見つめた。


「やってみて?」

「…………――ンッ…!」


その唇が身に触れぬ限り、この刻に終わりはない。

ただこうして従うのみ、だっだ――――。
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