PINK CAT

□掌の狂気
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【仕事へ向かうある朝に
湖畔の小道を下っていた
心優しい男の子が出会ったのは、かわいそうに…半分凍死していたヘビでした。】

『おいらを入れてくれ  やさしいお方。
 おいらを入れてくれ  お願いだから。』

ヘビは、
ため息をつきました――





―:3『掌の狂気』―





――検事局内 大会議室


「―――……考えるときに一つ重要な観点がある。それは情念……あるいは本音のレベルで議論するか―――第三者にも通ずる論旨で議論するか。確かに情念は重要で、これが無ければ人間、ヤル気が出ないからね。
しかし情念が勝った議論では、第三者を説得できないだけでなく、下手をすると迷妄に陥る事に成り兼ねない。
…人間が人間を裁く庭に於いて、僕等は極めて重要な立場に在る事を再認識した上で、諸君らが今年も犯罪解明のプロフェッショナルとして、国民の為に貢献する事を所望する――――以上」


背に浮かぶのは、この国の治安を示すエンブレム。
表向きは、だけれど。

自由の国のソレを基盤にした実に面倒な上っ面だけの集会が今年初の仕事だった。

コレを仕事の一つだとする国の方針は酷く馬鹿馬鹿しい―――。

ただ、そんな事を繰り返して過ぎて行く時こそが、『平和』という偶像の名称だと思う。


(生活の為に職務を遂行してる――カワイソウだねぇ……)


ボクは偽善の敬礼と笑みを浮かべ、檀上を後にすた。
今年もまた何事もナイ。


―――ただ。

あの、高き椅子に戻る背に、先程から強い『憎悪』の念を感じていた。

誰かは大体予想がつくのだけれど…。
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