BLUE CAT
□君といつまでも…
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睡眠中の『夢』というのは、大概が自分でその内容をコントールしているらしい。
だったら何故、『幸福だと思える未来』だとか『常識叶わぬ願事』を自在に見れないんだろう。
それは例えば、誰かに追われる夢。
いつも散々追われては決して捕まらないまま、目覚めまでの刻迄を必死で逃げ続けるというのが普通だ。
そんなバイオレンスな夢の中でも、ヒーローが現れる事は一度もなかったし、僕に不思議な力が宿るような事もない……僕は夢の中でも結局は『僕』のままだった。
とどのつまり―――自分が経験した事例がなければ基本的に夢には反映される事が無いという事で……。
(夢も現実の一部って……虚しい……)
――また何故に普段緩め僕がこんな小難しい事を考えていのかというと。
「ゴメンねぇ、もう少しで終わるから、ね?」
「あ……いえ、ごゆっくり…ドウゾ……」
残り12.5人の福沢の足枷を付けられたまま、不思議な冬の休日を過ごしていたからだった………
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【君といつまでも…】
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クライアントの自室に足を踏み入れたのは、今回でニ度目。
此処ではとても恐い思いをした―――それだけは未だ鮮明に覚えている。
先週に【半日分だから】と強制的に拉致された僕は、あの胸に抱かれて、またもやこんな『約束』を交わしてしまったのだった。
(どうせなら、ここに座ってるだけで半日済まないかな……)
広い部屋の片隅にある小さいけれど、やはり高級そうな椅子に深く座って僕は独り……そんな都合の良い夢をボンヤリと想い描いてる。
朝一番から相変わらずのSP達による拉致の後、車で連れられた先がこの部屋だった。
どうやら急な来客だった様子。
少し怖面の厳ついその相手は、クライアントに何やら書類を広げ、時折中国語混じりでクライアントと話しを交わしていた。
その客が何故か時折チラリ、チラリと僕を見る。
何かをチェックしているような、そんな視線が嫌で…僕は知らん顔を装っていた。