BLUE CAT

□仔猫に首ったけ♪
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【仔猫に首ったけ♪】
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―――左、右を確認して


(よし、大丈夫!)


地裁の地下資料室の扉から頭だけを出し、キョロキョロと見渡して…安全確認をし、資料室を出た。

もし今、他の誰かが僕の姿を見ていたら、間違いなく不審者扱いされるだろうな…と思う。

いやいや、僕は別に疚しい事をしている訳ではないのだし、寧ろこれは被害に遭わない為の防犯マニュアルなのであって……


(大体…何で僕なんか追い掛け回すんだよ…)


そそくさと階段を駆け上がりながらブツブツと独り言を垂れ流していた。


【困り事は最寄りの警察署へお気軽にね!】
…などと壁に貼られたポスターの美女はニッコリと微笑んでいるけれど。


(お気軽に相談しても取り合ってくれる訳ないじゃないか…)


もし糸鋸辺りに、
『僕は今、検事局長から拉致被害を受けています』
と言った所で、
【アンタ何か悪いものでも食ったッスか?】
とか何とか言われるのがオチである。

増して、相手は警視庁という国家組織内の重鎮。
そんな人物が一介の貧乏弁護士をストーキングするなぞと言った所で、誰も信用しないだろう。

逆に名誉棄損だとか言われ、訴えられたりでもしたら…それこそ目も当てられない事態になる。


(…まぁ…でも今日は大丈夫みたいだし)


先程かき集めた資料の整理もあるし…チラリと時計を見ればもうすぐ午後3時を廻る頃。

そろそろ小腹も空いてきたし、一休みも兼ねてカフェで一服しようかな…と。
エレベーターの扉脇でくるりとカフェに足を向けた時、だった。


―――チン


軽やかな電子音がして、扉が左右に開かれる。

いや、またそんなタイミングでそれは有り得ないよと…通り過ぎようとした時だった。


「あれ!なるほどちゃんだ!ああ、とっても奇遇だねぇ!!」

「――え゙!!」


開かれた鉄扉の奧、お馴染みのSPを前衛に厳徒が満面の笑みを成歩堂に贈る。

こんなお決まりの再会に油汗を流しながら、

(僕の人生は日々ドラマかよ……)

…と。
早速SPに取り囲まれ、ガックリと肩を落とした成歩堂であった…。
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