RED MOON1
□捕食者
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「……どのような業を背負おうと…私は彼を護りたいのです……!」
「ふぅん……だからこんなコトされても我慢します、って自虐しちゃうんだ……」
「……ん……ンッ…!」
忍ばせた手で胸の突起を キュッと摘み上げて、その少し生意気に歪む顔を覗き込んでやった。
こんな時思うのは、やっぱり彼は『御剣 信』の息子だという現実。
貫き通す強さを兼ね備えた、あの『御剣 信』の溺愛した一人息子。
(ナゼ、服従シナイ?)
その従順さの上にある、服従。狩魔クンは彼にそれを植え付けた。
しかし彼はボクにはまだ…それだけは見せない。
これじゃまるで『アマデウス』のサリエリの心境だ。
天才モーツァルトの才能に嫉妬したサリエリが、【神は私に天才と凡才を見分ける才能だけを、お与えになった】――と。
(ナゼ……?)
キミは何時も、ボクの傷を癒してくれる。
キミが苦しみ疱いて……また美しく羽化するのを見るコトがスキだ。
だから、わざとまた傷付けてやったのに。
補食され続けても…まだ、こうも逆らう。
「なるほどちゃんがさぁ…ボクにこんなコトされるのが単に嫌なだけなんじゃあナイのかな?」
「――ン……ふ……あッ……」
「キミみたいに補食されちゃうのが、ね……」
下肢から彼を取り出して激しく扱き上げながら尋問するように問いただす。
その、痛い程の刺激にも必死で堪えようとする姿に苛立ちを覚えて。
「……だとしてキミに何がデキル?」
「…あ…アア―――ッ…!!」
「『護る』なんて言葉はボクには必要ナイんだよ……ソレを、知れ―――」
ただ、苛立ったから彼に想定外の嫌がらせをした。
実際、彼の『護りたいモノ』は――既にボクの手に落ちてしまっている。
互いを貪らせて愉しんだりもした後だ。
(キレイゴトは、要らない……)
無理矢理絞り上げた白血がポタポタと……黒革から滴り落ちる。
掌を擦り抜けてゆく彼はその身体と共に、ガクリと脚を崩した。
「ああ…じゃあ、ひとつゲームをしよう?なるほどちゃんをキミが何処まで『護る』コトが出来るかのさ……ごく、単純なゲームをね」
「局……!!」
「ボクは手出しシナイからさ……それは約束、してアゲルよ」