BLUE CAT

□添い寝
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量よりも質、といったその内容。
これらはきっと、僕の収入の半分位するのかもしれない……。

目前のクライアントは色々な話しを僕にしてくるのだけれど、それが聞いた事のない童話であったり。

かと思えば、経済の事だとか政治等のグローバルな話題だとかの、とても難しい話だったりする。

『話の幅』にも随分長けているんだと…取り敢えず話しに耳を傾けながら、僕は出される料理を次々と平らげていった。



「ああ、そういえば!アノお手紙、読んでくれたかな?」

「――!ゲホッ!!!」


それはまた急に話が変わって。
デザートのマンゴーのムースが気管支へと入り込み、僕はみっともなく噎せる。


(き…来た!!あの手紙の返事だよ……きっと!)


少し忘れかけていた時に問われた、クライアントにとっては多分重要な……あの手紙の内容。
僕の肩を一気に重くした、それ。


「あ…ええ…まぁ…読み…マシタ……」

「そう!…ン!!じゃあさ、何処に行きたい?なるほどちゃん!」

「え!!い…いやいや!!まだ僕は承諾したとか全然……」

「楽しい半日になるとイイねぇ!」


――実は、あの手紙には。

未だ金庫に眠ったままの『25名の福沢諭吉』の未来が書いてあったのだった。


【―――なるほどちゃんを、貸し切りにする約束があったよね?
だからデート、しよう!】


(デート……何故…)


あれはあくまでも『相談依頼』として受け取った訳であって。

これじゃまるで援助交際みたいじゃないか、と。

嫌な汗を流しながら、重く肩にのしかかる【25人の福沢】を――いや、それよりも一体どうやって、この理不尽な依頼を丁寧に、怒らせないようにお断りするのかが……僕最大の課題となっていた。


「あ…あの、半日…って……」

「ン?ああ、ボク結構忙しいんだよ、局長だから。半日もギリギリだったよ!」

「いや…あの、…じゃあ、残り半日は一体…?」


それなのに僕の『ツッコミ魂』と、僅かな疑問に対する『詮索』は自我意識を持たず、待った無しで口をつく。

それは『弁護士向き』でもあり、災いの元でもある。

そして、今のこの発言は―――的を外す事無く、後者のど真ん中へと突き刺さった。
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