スパイラル
□青白の礼- キモチ-
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最後の時を愛する人と共にあれたら
どれ程幸せなのだろう
白い雲の流れが、窓から見える。
そちらにぎこちなく首を傾け、目を細める。
体中がだるい。
息をするのが拷問にすら思える。
そんな中で、鳴海歩は微笑んでいた。
彼の体に仕込まれた、遺伝子レベルの時限爆弾は、まもなく役目を終えようとしている。
《二十歳》
彼の分岐点は、近日に迫っていた。
歩は自分の人生を振り返ってみた。
良い事なんか、思いつかない。
嘘で固められた暗闇を手探りで進んで
その先に得られたものは、《絶望》という名の、希望に似たもの。
自然と、自嘲の笑みが零れる。
ろくな人生じゃなかった。
こんなに無理したくなるような良い世界じゃなかった。
でも
一つだけ
欠片だけ
一方方向なこの思いは、宝物だった
空は青い
白い病室と相まって、孤独感に満ちていた。
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